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新国立劇場バレエ「こどものためのバレエ しらゆきひめ」:想像の翼動員で観るべし

7月26日、こども向けバレエの「しらゆきひめ」。
毎夏やってる子供向けバレエのプログラムのひとつです。
いつもは中ホールなのでお子様たちに席を譲るべく遠慮しておりましたが、今年はオペラパレスに舞台を移し、また細田千晶さんと林田翔平君の姫&王子デビューということで足を運んでまいりました。
ほかのキャストも見たかったのですが、平日昼間とか、土日は埋まっていたりで、今回はこのキャストだけです。

子供にわかりやすいようにと、アナウンス入りの舞台です。
時々セリフ付ですが、やはり新国の方々は踊りも演技も素晴らしいですね。
1部はいい感じでお話が進み、「子供にごまかしはきかない。だから最上のものを」というのはあの熊のぬいぐるみでお馴染みのシュタイフの創設者であるご婦人のコンセプトと記憶していますが、まあそんな言葉が一瞬頭をよぎりました。

が、2幕からお話がトンデモな方向に(笑)
死んだ姫(実は死んでいないが)3年熟成とか(なぜさらに3年経過する必要がある??)、1幕で出会ってるはずの王子が熟成中のしらゆきひめを見て「これは誰」とか、あっさりしすぎ。
7人の小人ならぬ7人の森の精と王子が姫の取り合いをして落っことしたらリンゴがぽろりとか。
姫も森の精にさんざん世話になっておきながら、王子と出会ったらあっさり「じゃあね~♪」とかw

まあつまり、突っ込みどころ&脳内補完満載で、1幕の複線もちゃんと回収しろよとかもう、想像の翼を広げないとついていけない状態になるのですが、それでも隣の席のちびっこ女の子は食い入るように真剣に見ていたので、一応子供心に訴えるものはあったんでしょうね。
いや、毒りんご工場なんかは面白かったですよ(笑)
しらゆきひめが森で迷った時の森の精の衣装も良かったし。
シカの衣装がキリン模様とか、キメラみたいでしたが(^-^;

で。
細田千晶姫は今作が真ん中デビューです。
しっかり踊れていて素晴らしくお見事。
林田王子も多分前日に急遽唯ちゃんのお相手をしていたので、厳密には王子2日目と思いますが、発表ではこのキャストで王子デビューとなります。
林田君は先のシンフォニー・イン・スリー・ムーブメンツで主要どころに大抜擢され、見事に踊り切っていたので、今回も期待でしたが、笑顔がなかなか素敵な、暖かい包容力があるオヒサマみたいな王子ですね。
前髪あげたら意外とデコが広くて「朝市」みたいだったけど(笑)
このペアでシンデレラなんて観たかったですね。

また鏡の精たるミラーが宝満君だったのですが、これがなかなかセクシーで良いです。
層が厚い。
王妃の手下の五月女ちゃんがまぁ、コミカルな歩みで実にいいキャラです。
王妃は本島さんで見ておきたかったかも。
バレエの女性ダンサーというのは総じてお姫様根性が抜けず、悪役が全然悪役じゃなかったりしますが、本島さんや湯川さん、先のパゴダの王子の長田さんにしてもちゃんと悪役になれるからすごいです。
これはすごく大事なことかと思います。

7人の小人…は先にも申しました通り、さすがに背の高い男の子たちでは小人にならんだろう、ということで、7人の森の精という設定でしたが、これがまたボスの小口君筆頭に踊りの見どころが多く、なかなか粒ぞろいで楽しい面々です。
今回が見納め、という方々も何人かいましたが、チームワークが非常によろしく、いちいち輪になって相談するところなんて微笑ましい。
てか、息の合い方が半端ないんですけど(笑)
新国の男の子たちってホントに仲がいいんだなぁとしみじみ思わせられますね。
姫の結婚式の7人組の踊りなんて、王子予備軍が山ほどいるわ、という感じで実に見応えあって眼福でした。
こういう子たちが埋もれているうえ、来シーズンは古典中心だからどうしても後ろに回ってしまうのが、やはり残念です。

いずれにしても、突っ込みどころ満載とはいえ、若いダンサーさん達の出番も多くてなかなか楽しい公演でした。
こういうのなら、また行きたいと思います。
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by kababon_s | 2014-08-30 04:18 | 新国立劇場バレエ

お教室バレエ発表会2種:王子詣でで札幌&宇都宮

恒例となりつつある夏のあつじー王子詣でです。
今回は札幌と宇都宮に遠征。
1年ぶりに見た厚地王子はよりエレガントに、王子オーラもますます輝かしくなっておりました。
ビントレー監督が辞める1年前という、あのタイミングでバーミンガムに戻って本当によかったなぁと思いますし、そうしたタイミングを逃さない嗅覚センスもまた実力のうちでしょうか。
また今回、なかなか見る機会のないゲストの方との共演も含め、実に面白い遠征でした。

●札幌:久富淑子バレエ研究所 60周年記念定期発表会

7月12日、札幌市教育文化会館 大ホール。
あの熊川さんの出身お教室ということで、おそらく札幌方面では一番大きなお教室と見受けました。
ゲストは厚地君、元英国ノーザンバレエシアターの雨森さん以外はすべてお教室の出身者で、元Kで新国立劇場バレエ団の輪島さん、Kバレエの宮尾さん、ノーザンバレエシアターの高橋宏尚さん等々、豪華な共演です。
さらにお教室の発表会だっていうのに5000円という「いっちょまえな」(←同行者談&同意)チケット代を取るというところも豪気です(内地は無料が一般的。有料にしてももっと安い)。

あつじーファン的においしかったのは出番の多さ。
2部の「くるみ割り人形」のお客役では優雅にフロックコートで登場。
雪の場面では白く輝く雪の王。
アラビアでは「アラジン」のルビーを思い出すようなスマートで色っぽい踊り。
フィナーレは黒の上下で颯爽&シックに登場です。
いやいや、存在感が違います。
意識しなくてもどこにいたって目を引きますし、物腰がエレガントですね。
間違いなくレベルアップしていますし、やはり新国で王子を踊った経験は絶対に必要だったんだと思わせられます。

ドロッセルマイヤーが宮尾さんなんですが、お子様たちの中にあってはこの方もおっさんなんだなぁと(笑)

金平糖の王子が輪島さんという、おそらく新国ではひょっとしたらもう見られないかもな王子だと思うのですが。

お教室だから仕方ない…と思えど、「いっちょまえな」5000円というチケット代を取っているから、あえて言わせていただきますが。
無料の公演、あるいはお金取ってもちゃんと踊れる生徒さんなら何も言いませんが…。
なんというか、「大人の事情」を金取られて見せつけられたというのか。
要は金平糖は生徒さんではなく、せめて先生にするべきでしたよね、ということです。
ちゃんと踊れる生徒さんは他にも何人かいたのに。
ゲストにも客にも失礼ってレベル以前の問題でした。

ともかく、お相手する輪島さんは卒業生の宿命とはいえ気の毒で、どんだけビンボー籤引いたんだと涙が出る思いで、とにかくケガだけはしないでくれろと祈るばかり。
無事にすんで、本当によかった…(T_T)

気を取り直して。
この公演で、ずっと気になってるノーザンバレエシアターの高橋さん&雨森さんがデビット・ニクソンの作品を踊ってくれたのは、私的には非常に思いもよらず幸運な出来事でもありました。

ガーシュウィンの「Man I Love」に乗せたパドドゥだったのですが、やはり一筋縄ではいかない振付家だと感じました、ニクソン。
こういう言い方がいいのかどうかわかりませんが、わかりやすく伝えようとするなら「英国北方のエイフマン」というのでしょうか。
エイフマンから泥臭さを抜いた英国流というのか。
動きはクラシックバレエをベースにしつつも、コンテンポラリーを多分に取り入れ、シャープでスピード感がありかつエレガントでムーディー。
おそらく「ニクソン流」ともいえる言語があるのではなかろうか。
「英国の伝統」ともいえるドラマ性も感じられる。
踊り手にはおそらくすごい身体能力が求められているのではと思います。

●宇都宮:石原千代バレエスクール創立25周年記念発表会

7月27日、栃木県総合文化センター メインホール(入場無料)。
あつじー王子の出身校です。
ゲストにはバーミンガムの佐久間奈緒さん、アクリバレエのアクリ親子、加藤静流君等々、錚々たる方々がずらり。
先の札幌もそうですが、何百人という生徒のなかから一人でも世界に羽ばたいた生徒がでるということが、お教室にとってどれほど大きな財産をもたらすか、その典型的な例を目の当たりにした気分です。
しかも男のダンサーで大きく成長した人が出ると、続く未来の王子たる男の子たちのモチベーションや目の色が全然違うのですね。
ボーイズたちが実に生き生きと踊っているのは、見ている方も楽しいですし「目指せ!未来の王子様!」と応援したくなります。

その大いなる先駆者、宇都宮から羽ばたいた世界の王子・あつじーは金平糖の王子、そして「二羽の鳩」で登場です。
「二羽の鳩」ですよ!
オールニッポンバレエガラ再び!
相手は佐久間さん。
この演目がまた見られるというだけでもう、宇都宮まで出かけて行った甲斐があるというものです。

おそらくこの「二羽の鳩」、抜粋の最後のパドドゥの部分だけとはいえ、あつじーの当たり役ではないでしょうか。
二人とも気持ち入りまくりで、それまでの二人の楽しかった恋人時代、出奔して後悔し、何が大切かを気づいた男、許そうかどうしようか戸惑う娘とゆっくり和解し溶け合っていく二人の気持ちがひしひしと伝わってきて、感涙ものでした。
まちがいなく、代表作の一つと言っていいと思うのです。

金平糖の王子はもう貫禄。
新国で初めて王子を踊った頃が思わず頭をよぎりましたが、実に輝かしい、たくましくも優しく美しい、頼もしい王子です。
あつじー、バーミンガムで頑張っているんだなぁというのが伝わってきます。

脇を固めるドロッセルマイヤーのアクリさんはじめ、お教室のクオリティを超えた楽しさでした。
ツボったのは衣装を変えたら土建屋系のガテンなおっさんで、上野のアーケード下で焼き鳥食べてても全然違和感ないぞ的な男性が一人いらして、実に目立つのです、その風体で。
そのガテンさん(笑)がクララのパパだったんですが、そのままくるみ割りの2部でスペインも踊ってたんですね。
どうしてもパパがスペインやってる、と見えてしまう。

さらにダメ押しに、このバージョンは最後、クララをママだけが(夜会服のまま)起こしにくるという演出なんですが、その光景を見ながらどうしても「そして実は、パパも夢の世界の住人だったのです」という脳内補足をつけたくなるのですね。
新説くるみ割り人形かw
最後に突っ込みどころがあって、実はこれでしばらく楽しんでもいます。

いずれしにしても力の入った石原公演でした。
あつじー王子が踊る限り、多分里帰り的に毎年参加でしょうから、これは夏の行事として定番になりそうです。
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by kababon_s | 2014-08-08 23:21 | Ballet

エトワールガラBプロ:挑戦的に、パリオペ

引き続き、エトワールガラBプロです。
8月2日、文化村オーチャードホールにて。

以前、エトワールガラのプロモーション動画だか何かで座長のバンジャマン・ペッシュが「本国ではできない、こうしたガラならではのプログラムをお見せしたい」というようなことを言っていたと記憶していましたが、そういう意味ではAプロはある意味普通といえば普通のガラ(しかもハンブルク組がパワフル)。
対してBプロは部分的に挑戦的なプログラムを組んできたかなぁと思います。

それが2部の「牧神の午後」2連荘でしょうか。

振り付け家の違う牧神を連続で。
これはなかなか面白かったです。

1つ目がデフォルトといえるニジンスキー版の「牧神の午後」。
座長ペッシュとニンフがローラ・エケ。
ニンフ1人きりですが、ちゃんとセットも持ってきているのがすごい。

バンジャマン、大あくびしたり、飄々としているようで、表情から目が離せない牧神です。
あの牧神独特の静止ポーズもいちいち彼ならではの味わいというのか、なんだか今まで見た牧神のなかでは、エロいというよりは一番変態さん度が高かったかも。

続いてロビンス振り付けの「牧神の午後」。
バレエスタジオに横たわる男性ダンサーが、エルヴェ・モローなんですが、けだるくてナルシスティックで、これが実に美しい。

一人でスタジオで踊る、その外から女性ダンサー(アマンディーヌ・アルビッソン)が訪れ、共に踊るのですが目を合わせるのは最後の瞬間だけ。
創作者の白昼夢に一瞬降りてきたミューズのような、そんなけだるさです。
触れたら消えてしまった、しゃぼん玉のような夢です。
エルヴェが美しくてため息もの。
同じ音楽が続いたことも全然気にならないのはさすが、というべきでしょうか。
いいですね、ロビンス版。

エルヴェは同じくアルビッソンとともに「こうもり」のパドドゥも踊りましたが、これがまた実にしっとりとしたエレガントさ。
こういう大人の洒落た世界は、パリ・オペラ座は本当にいい感じです。

個人的にツボったのはシェリ。
プティの作品で、プログラムによるとほろ苦い恋の場面、ということですが、サテンだかベルベット風だか、とにかくテラテラシーツのベッドがなまめかしい。
ドレスアップしたイザベル・シアラヴォラに対し、男性ガニオ君が下着のシャツ&パンツに靴下革靴というどうしたって笑っちゃう素っ頓狂な格好。
シャツに下着パンツに靴下ですからもう、やる気満々ですわ。

こういう奇妙な姿を舞台衣装としてしまうのがプティらしいし、これがおしゃれさ+コケティッシュになってしまうのも実にフランスらしいし、それでも品のある舞台になるのがパリ・オペらしい。
そしてこういう姿でも様になってしまうのはイケメン・ガニオ君ならではでしょうか。
実にいろいろフランスらしく、フランスのブランド力ってやっぱりすごいなぁとか、全然方向違いのことも考えてしまうのですが。

とまれ、「シェリ」は年上の女と若い恋人の場面。
女はやはり自分の年に悩んだりするのですが、ガニオ君が無邪気です。
最後、ようやくベッドに腰掛けたイザベル様の膝に「ばしゅっ!」と効果音が付きそうな勢いで駆け寄る姿がまた仔ワンコのようでした(笑)

1部開幕の「眠れる森の美女」スペシャルはローズアダージョのドロテのバランスがウルトラスペシャル。
4人の王子がパリ・オペラ座の面々+Kバレエの男の子(なんとすばらしい経験!)とまあ豪華。
衣装もしっかり持ってきたんですね。
どこかの酋長のような羽帽子のバンジャマンがさりげに怪しいです。

1幕のオーロラのヴァリエーションがエケ。
2幕王子のヴァリエーションがオードリック・ベザールで、3幕のグラン・パドドゥがアルビッソンとガニオ君。

2幕のベザールは、ちょっと前回のブログでほめすぎたか(笑)、と思いましたが、ヌレエフ版はやり癖があるというのか、難しいのか、彼は古典よりコンテがいいのか、パートナーがいる方が世界観が広がるのか。

でも3部でドロテと踊った「アモヴェオ」はやっぱりAプロで見た片鱗がちゃんと見えたので一安心です。

アモヴェオ、なんだか見えざるもの、見えてはならぬものが見えているような視線と表情がすごいです。
ひきつけられて目が離せない。
SFの小作品みたいなイメージが浮かびますね。
ベザールはこれからも見ていたいダンサーさんです。

Aプロから素晴らしい踊り&世界を披露してくれているアッツォーニ&リアブコはこの日も「デジール」で、金子三勇士さんのピアノとともにため息ものの世界観を醸し出す三位一体の踊りです。

今回のエトワールガラ、こういう公演にプロのピアニストが入ることでいっそうすばらしい舞台になるという象徴のようです。
音が、音楽がちゃんと踊り手の感情に乗っていて、世界がいっそう深くなる。
ここでこういうのをやってしまうと、今後のガラでもしっかりしたピアニストを呼ばねば客はもう満足しないのではないか、と心配になるほどです。
もちろん、ちゃんと世界観をくみ取り、ダンサーと息を合わせることのできるピアニストさんじゃないとだめだと思いますが、金子さんは本当にお見事でした。
芸術家としても素晴らしいんだなぁ。
また彼のコンサートにも行きたいものです。

その金子さん、最後の「椿姫」のショパンも弾いてくれることになったのですが。

なんか若気炸裂暴走気味のアルマンっていうんでしょうかね。
よく言えば熱いんですが、悪くいえば何も考えず感情のままに暴走してるっていうのか。
そういうアルマンに合わせているせいなのか、すごい熱さ炸裂の暴走ショパン(苦笑)
こういうのはまぁ、普通の演奏会ではまず聴くことのないショパンかと思います。
まさにこの日の椿姫のためのショパンであって、そういう意味では珍しいものを聴いたと思いますが、椿姫としては、これでいいんでしょうかね(苦笑)

フィナーレのカーテンコールがマンボの曲なんですが、このマンボ(↓)にあわせて踊る牧神バンジャマンがちょっとインパクト大。

https://www.youtube.com/watch?v=7JWxNqyIRtk&feature=youtu.be


ガニオ君があの、シャツパンツに靴下のままだったのが笑えました。
Aプロではみなさん普通に動いていましたが、Bプロでは思い思いにポーズを付けて、なかなか楽しいフィナーレでした。
ダンサーさん達も楽しんでいたんだなぁ。

というわけで、このエトガラ、座長があと何回見られるかなぁ、というお歳と思いますが、続けてほしいものです。
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by kababon_s | 2014-08-08 01:32 | Ballet

エトワールガラAプロ:パリ・オペラ座×ハンブルクのエレガント

パリ・オペラ座のバンジャマン・ペッシュ座長はじめとするガラ公演です。
パリ・オペラ座のダンサーの方々にハンブルク・バレエ団などからの出演者もいる豪華な公演で、4年ぶり4回目だそう。
怪我人等々で出演者が変わり、演目が変わり…でしたが、まあこういうのはこのガラに限ったことじゃない。
それよりこういうガラの面白さは、こうした公演で初めて意識下に入ってくる方々がいたり、ガラでないと見られない演目もあったりすることです。
なによりやはりパリ・オペラ座の方々はやはり美しいし、パリオペならではの華というものは感じられる。
それに世界のトップクラスの方々は、ガラといえどもそれぞれが世界観を持って踊るから、作品一つひとつ、幕が開き降り、また開くたびに空気が変わる。
総じて満足な公演でした。

また今回ピアノ曲の演目で、ピアニストの金子三勇士さんが参加。
そしてその金子三勇士さんの演奏とのコラボレーションが実に素晴らしかったのですね。

彼の公演はここしばらくチケット買っては行けず…が続いていたので、今回ようやく聴けたのですが、やはり好きです、あの豪腕でリリカルという、正反対の要素が融合している音色が。
舞台上の演奏も終始ダンサーに寄り添い、彼らの心と呼応するかのような響きで、まさに踊りと音楽が一体となった世界にはぬくもりすら感じられる。

曲目は「3つの前奏曲」ではラフマニノフ。
ドビュッシーの「月の光」で、これで踊ったエルヴェ・モローの動きが実に幻想的で、この世のものじゃないような存在感。
残像が残るような動きひとつひとつが溜息ものでした。

そして「イン・ザ・ナイト」の、ショパンのノクターン4曲でしたが、これが踊りが醸す宇宙全てを包み込むような暖かさ、優しさ。
実に優しいムードに満ち溢れた夜の風景です。
静かな夜、3組のカップルの心模様やドラマが一瞬すれ違いまた、それぞれの世界に帰っていく。
ひとときの夢模様が丁寧な踊りと音楽とで優しく紡ぎだされていくのですね。
この「イン・ザ・ナイト」は踊るカップルによって全然雰囲気が変わるんですが、そこにさらにピアニストの世界が加わって、さらに宇宙が広がった感じ。
星の輝きにまで暖かな温度が感じられるようなそんな世界です。

こうした大人のエレガントな世界を醸し出すことにかけては、やっぱりパリ・オペラ座が素晴らしいなぁ。
思わず胸の熱くなるこの演目で、本当に幸せな気分で帰路に着けたと思います。
にしても、バンジャマンはあと何回見られるのかなぁ…。

感動的で圧倒され、さすが!と唸らずにいられなかったのはアッツォーニ&リアブコのマーラー3番とアルルの女。
とにかく登場時からすでにイっちゃってる、リアブコの狂気の視線に惹きつけられます。許嫁を想うアッツォーニの、最後の別れ(?)のシーンは愛情やら切なさやら言葉にならない思いが凝縮されたみたいに切ない。
そしてリアブコのソロ。
狂気の迫力。
抜粋とはいえ全幕見たくなる「アルルの女」でした。

また今回個人的に非常にツボったのが、プルミエールで参加のオードリック・ベザール。
数年前にジョシュア・オファルトが初参加してその名を観客に刻みつけ、今やエトワールとなりましたが、そんなジョシュアの初参加の頃が頭をよぎりました。

一番ツボにはまったのは彼の踊りが醸す「世界」というのでしょうか。

開幕一番のダイヤモンドが、「ダイヤモンド」に象徴される尊い女性に恋し、焦がれ、おそるおそる手を差し出しつつ思いを募らせる……という慕情があふれ出るような踊り。

「ダイヤモンド」の王子としては高貴であるべきなのかもしれません。
でも、ベザール王子が、ダイヤモンド役の、これまた清々しい高貴さの中に初々しさがにじむようなローラ・エケとともに紡ぐ物語は、とても響いてくるのです。
涼やかで透明な音が響きそうなローラのダイヤモンドもすてきでした。
透明な、ピュアな恋心です。

「ダイヤモンド」という作品自体が、「ジュエルズ」共々とても抽象的な踊りで、そういうものだと思っていたのですが、今回のガラで初めて「物語」を見た気がします。
何が完璧な「ダイヤモンド」か、というのはさておき、これはこれで、私はすごく好きな世界でした。
あのチャイコフスキーの「ポーランド」の音楽が今でも頭の中でリピートされています。

ベザール君は無から有の世界を作り出せる人なのではあるまいか。
彼が踊り、空気を動かすたびに物語の世界が醸し出されるようだなぁ、と強く思ったのが、2部でドロテと踊った「3つの前奏曲」でした。

バーを挟んで交わることのない、男女の微妙な距離間。
バーを取り払い、パドドゥを踊ることで徐々に近づいていく心。
そして近づきつつ、でも恐れつつ、しっとりと溶けていくような心が描き出されるようで、これもまた余韻がいつまでも残ります。

ベザール君、「3つの前奏曲」ではダイヤモンドとは打って変わって、体操選手のような肉体美を披露してくれたわけですが、この体つきといい、身長190cm越とかいろいろツボります。
次の来日公演の機会があったらぜひ来てほしいし、今後注目して見ていきたいダンサーさんですね。
椿姫のアルマンなんて見てみたいなぁ。

そしてもう一つ。
ガニオ君がすごくムード豊かで演技力も、こういっちゃなんですが、向上していたのか、ということに驚きとともに、ゴメンナサイという気分。
顔だけ…なんて思っててすいません。
てか、ここで進歩してくるのか―!
前回の「天井桟敷…」、どれも見られないからガニオ君のはパスしてしまったんですが、見ておけばよかったかなぁと、後悔ちらり。
いや、だってチケット高いから、全部見られるわけじゃないので、取捨選択しなきゃならないですよねぇ…(T_T)

というわけで。
次はBプロも行きます。
パリ・オペラ座はやっぱり好きです。
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by kababon_s | 2014-08-01 23:46 | Ballet