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「ルジマトフのすべて2007」:カンノ~(1)阿修羅

「ルジマトフのすべて 2007」。
「ルジマトフと仲間たち」であり、やっぱりルジマトフ。
正直白状すれば、今までルジマトフの公演は何回か見ていますが。

今回初めてルジマトフを心底「カッコイイ!」と思いました。
やっぱりこの人、オーラが違う。
本当に踊り手であり、表現者なのだともうつくづく感嘆しました……。

今回のキーワードは「カンノ~」というかカンノウというか。
官能、感応、神能、堪能……。

プログラムの見所のひとつ「阿修羅」。
ボリショイの岩田守弘さんがルジのために振付けたという作品です。

「阿修羅」のイメージはもちろんあの興福寺の仏像。
日本人に一番人気のある仏像のひとつですゆえに。
「阿修羅」と聞けば日本人ならおそらく誰もがまずあの仏像をイメージするでしょう。
薄明かりの中に静かに立つルジの姿にあの興福寺の仏像を重ね合わせて見た人も少なくないはず。

仏像から抜け出した魂……“心”を踊るのがこの作品の主題でしょう。
音楽は古典邦楽の掛け声や笛。
仏法の守護神として宇宙(そら)に降り、終わることのない戦いに身を投じていく阿修羅の運命、使命、悲しみが静かに、永遠に続けられていく……。

あまりに静かで、青白い炎です。
目を疑いましたが、ライトのせいでしょうか。
踊りも終わりに近づく頃、ルジの動きがスローモーションのように見えました。
背景のライトの青い光。
体を白い淡い、靄のような光がとり巻くように包み、どこかへ立ち上るかのようだったのですね。

なんか不思議な感覚。

ルジマトフの神能で感応といいますか……。
今まで何回もバレエを見てきましたが、こんな感覚を持ったのは初めてです。

見てよかった……。

この作品、おそらく日本人だけが世界の人とは違った感覚で見る作品だと思います。
やたら日本で人気のあるルジマトフ。
そういう意味では日本のファンを意識して依頼した作品……かどうかは分かりませんが。
とまれ、彼が稀代の踊り手であることは間違いないなぁと、ホントにつくづく思った次第です。

by kababon_s | 2007-06-29 23:15 | Ballet