東京都心の地下で野菜工場……!

東京都心で「地下野菜畑」計画 | Excite エキサイト

都心ビル地下金庫跡で「野菜工場」 転職会社が就農支援

東京・大手町のオフィス街、大手銀行の金庫として使われていたビル地下で「コメ・野菜工場」が2月にも稼働するとか。
コンピューター制御の人工照明や室温調整などハイテクを駆使して、無農薬のトマトやレタスを生産する。
転職支援会社が、職についていない若者やリストラされて失業中の中高年の就農支援のために農業研修の場として、あえて足の便のいい都心部につくった、ということだそうで。

なんと、SFみたいな話。
地下の野菜工場……。
というかひょっとしたら20数年前にこんなネタ、どっかのSFで誰か描いているのではなかろうか。
「ついに来たか」という感じです。

私は毎月都市農業従事者の取材をしています。
東京都下、23区、埼玉県住宅街など宅地のなかでがんばって農業をやっている方々に毎月お話を聞いている。
そのなかで、気になるのは都市農家と居住者の共存問題。

消費者は「安全・安心・新鮮」を求める。
畑の面積が小さい……というか小さくなってしまったなか、農業を続けていく農家にとっては、消費者の求める「安心・安全・新鮮」な野菜を届けることが、唯一生き残る道だという。
でも、肥料の匂い、土ぼこりに対する苦情は耐えない。
とくに新しくできたマンションなどに越してきた“新しい人たち”から、「こんなところで畑をするな」と言われることもあるそうです。

でも、そこで農業をやっている人はずっと代々、そこに住んでいた人たち。
そしてそれでも都心で農業を続けていく人たちは、やはり「食の供給は農家の使命」というプライド、誇りを持って取り組んでいる。
少なくとも、私が会った農家の方々は、みんな前向きに、少しでも喜んでもらえる安全でおいしい野菜を作ろうと、一生懸命工夫し、取り組んでいこうとしている。
「おいしい、といわれるいい野菜を作れば、周辺の“新しい人”にも解ってもらえる」と。

東京でイチバン新鮮な野菜は、やはり東京で作ったもの。
いかに交通網が発達しようとも、埼玉千葉茨城神奈川から2~3時間かけて運んでくるものより、地場の畑で取れたものを20~30分程度で運んでくるものの方が断然、新鮮でしょう。

野菜は、農作物は土と太陽の恵みで作られるもの。
もちろんそれがイチバンいいに決まっている。
もちろん、農家さんにしてみれば「そんなの野菜じゃねぇ」ということになるでしょう。

が。
土が減り、しかし人口は依然最多の巨大消費地・東京。
産直グルメ便がさかん、とはいえ、それは日常の食卓とは次元が違うもの。
日本の食糧自給率は40%と、先進国中最低です。
土の野菜がいいに決まっているけれど、土がどんどん減っている。
農業を継ぐ人も減っている。
でも輸入野菜は農薬浸しで怖くて食べられない。

だとすれば。
この野菜工場というのは、この日本が今まで辿った道の一つの「結果」ともいえるような気がしないでもありません。
これも都市農業の新たな形かとも思います。

いつかこの野菜が「大手町育ち」とかコピーを付けて、スーパーの店頭に並ぶ日が来るかもしれません。
そしてがんばる都市農家さんたちの「お日様育ち」と「工場育ち」という選択の、それぞれの付加価値が付くかもしれない。
消費者がそれを選んでいけばいいのかな、と。
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by kababon_s | 2005-01-11 01:10 | 世情