レニングラード国立バレエ:最後の「昔ながらのレニ国」か

あけましておめでとうございます。
一生忘れられない昨年を経て、今年は少しでもいいこと、楽しいことを積み重ねて、笑っていけるような年にしたいものです。

というわけで、今年最初のバレエがレニ国ことレニングラード国立バレエ、というかミハイロフスキーというべきか。

サラファーノフに続き、ワシーリエフ&オーシポワも移籍し、ナチョ・ドゥアト景気に沸く、ちょっと話題のカンパニーです。

今回は行ったのは1月3日の姪っ子の誕生日プレゼント&クリスマス&お年玉で新春ガラ。それから「やっぱりサラファーノフは見たいよなー」ということで5日の「海賊」、8日ソワレの「白鳥の湖」でした。

でも今回来日したレニ国は、昔ながらのレニ国というのか。
これでナチョ・ドゥアト作品を持ってきてくれれば…と思ったけど、吉田都さんを招いての新春ガラは昔ながらのレニ国の「くるみ…」の2幕、今までとは違うバージョンの「白鳥」に「ライモンダ」。
「海賊」はルジマトフ版でした。

本国ではもうすでにドゥアト作品が踊られているので、過渡期というには語弊というか時差ボケがあるのですが、でも日本に持ってきたこの作品はやはり新しく生まれ変わろうとするレニ国の「過渡期」というか、最後の旧態なのか。
遠く離れている日本にいる身としては「サラファーノフ、よりによってレニ国かよ…」という思いを抱えながらの、「初のレニ国サラファーノフ」鑑賞でありました。
新春ガラはおまけなので、全幕物2つの覚書を。

●お話しはサクサク進むルジ版「海賊」

幕が開き嵐に翻弄される船の中にルジマトフとサラファーノフがいる…というのが、まず何とも奇妙(^_^;)
何だろう??

このルジマトフ版「海賊」、大筋は全然変わってないけれど話がスピーディーでサクサク進み、またテクニシャンのルジマトフらしく、男性の踊りがかなり見応えあるものに変わってるのがポイントでしょうか。

さらにアリの「奴隷解放宣言」(苦笑)というか、まあ奴隷ではなく「コンラッドの友人」とした、というのもポイントとパンフレットにありましたが、なんというか名称もとい肩書きが変わっただけで、踊りの振りそのものはコンラッドに対して恭しいままの、ぶっちゃけ奴隷根性抜けてないアリ。
友人にしちゃうとパ・ド・トロワが突然すぎって感じ…というか、これをお話し的にどう解釈すればいいのだよ(^_^;)
三角関係なら三角関係と複線打たなきゃ分からんなぁ。

他のキャラがメチャメチャ立ってて、マイムも素晴らしかっただけに、どうもここだけすっぽ抜けというか。
結局、逆にアリの存在感が妙に薄れてしまったような気がしないでもなかったです。

てかコンラッド@ルジマトフが非常貫禄と存在感があり、海賊らしい海賊で素敵すぎ。
ルジマトフ親分。
品のある坊ちゃまコンラッドではなく、頭領にして、恋に目覚め、心のままに海を駆る思いに一途な海賊って感じでカッコヨスなのですよ。
同時にルジマトフって、所属カンパニー以前に、どこにいても、なにがあっても、一人で踊ろうが大勢の中で踊ろうが、「ルジマトフ」なんだなぁ。
この人の個性はやはり異色で、独特なのだと改めて思いました。

で、今回レニ国に出向いた目当てはやはりサラファーノフ。
なもんで出てくると目がそっちに行くのですが、アリというキャラの存在感が薄れた感じがあって、見せ場そのものは奴隷のままのパ・ド・トロワのみという感じ。
とはいえ、踊りはやはり素晴らしいので、踊りだすとパァっと光る。

てかサラファーノフ、踊り自体は伸びやかで丁寧で、レニ国の中にいても、「観る専」の目から見てもやはり抜きんでているんだなぁと思うし、やっぱり私は彼が好きなんですが、何だろう。
キーロフ時代の、出てくると「うわぁv(//∇//)」と感じた、彼特有のお日様っぽいオーラがあまり感じられなかったというか…。
彼そのものに変化があったのか何なのか。
確かに相変わらずのサラファーノフなんだけど、何かが違う…??

舞台的には「海賊」はキャラがそれぞれ立っててとても面白かった。
ちゃっかり者のギュリナーラに、ふてぶてしいビルバント。
フォルパンはかっこよかった。
なによりランケデムが妙にキャラが立ちすぎてて、めちゃめちゃいい味わいを出していたのは、個人的な感想ですが。

●オーソドックスに「白鳥の湖」

8日はサラファーノフ王子とペレンの白鳥。

サラファーノフ、確かに「レニ国」にとけ込んでいるようで、違和感は最初の「海賊」ほど薄れたとはいえ、でも何か違和感を感じるのは何なのか。
…わかりません。
本当に最後まで不思議な感じだ。
これに今度はワシーリエフやオーシポワが加わるのか…と思うと、一体このカンパニーがどう変わり、どこへ行くのか、興味は出ますよね。

舞台的にはペレンがベテランならではの大貫禄で、ひとつひとつの動きがとても丁寧で、なによりジュテはほぼ無音着地。
たおやかなオデットと、ダイナミックな黒鳥のメリハリのある役作りはさすが、というべきか。
ローテンポな音楽でも余裕の動き、余裕のフェッテ。
いやぁ、恐れ入りました。

ここのカンパニー、派手さはないけれど、今回は全体的にローテンポの音楽で、一つ一つの動きをじっくりしっかりキレイに見せていた。
四羽の白鳥もパッカパッカ、パカラッパカラッという音がほとんどせず、粒も揃っててキレイ。
1幕のパドトロワも腕の振りや足の角度とか、三人の動きが揃っていて観ていてホッとする。
古典は基本があってこそ、というのを改めて感じさせてもらいました。

また王子のママンがとっても若くて、まるで後妻に入った途端に王様が亡くなったというような雰囲気。
さらにサラファーノフが相変らずの童顔というのか、まるでお姉さんと弟という感じがしないでもない、それはそれで一種変わったテイストの「白鳥の湖」を思い浮かべる感じになってしまったというか(^_^;)
いや、それはそれで楽しかったのだけれど。

でも最後ロットバルトを倒し、手と手を取り合う姫と王子はいいんだけど…舞台中央ど真ん中に、幕が下りるまでロットバルトの死骸(??)が転がってるというのは、どうなんだろう(^_^;)
もうちょっと演出考えた方がいいぞ、ここは。

そんなわけで、いろいろ最後まで不思議な感じを抱きつつの、今回のレニ国鑑賞でした。

果たして次の来日にはドゥアト版を持ってきてくれるのか。
サラファーノフに感じている妙な「???」も、そのときなにかしら答えの一つは出るのでしょうか??

それより毎年来ていたレニ国も、今まで通り来るのかどうかも分からないなぁ。
結局私が見た3日間で満席だったのは新春ガラの都さんが出る回だけで、「海賊」はルジ&サラというキャストの割には2階から上の席はガラガラで人が数えられるほどだし、三連休中日のソワレの「白鳥」も、1階席でも空席がかなり目立ちました。
何よりトイレが全然空いてたというのが、混み具合のバロメーターというか。
私の属する旅行業の世界も大変だけど、舞台興業も難しい時代になっているなぁと、これも改めてつくづく思いました。
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by kababon_s | 2012-01-09 03:05 | Ballet