ベルリン国立バレエ「シンデレラ」:かぼちゃの馬車には乗らない

ベルリン国立バレエの「シンデレラ」観てきました。
マラーホフ版です。
「シンデレラ」はオーソドックスなアシュトン版、パリ・オペラ座では古き良きハリウッドを舞台にしたヌレエフ版などいろいろあって、どれも楽しめます。
いわゆるおとぎ話の「オンナノコの夢」や、現代女性の価値観を盛り込んだサクセスストーリーとか、もとのお話しがシンプルだからこそ、解釈次第でいろいろな仕立てができるという面白さがあります。

で。
今回のマラーホフ版はバレエ界を舞台としたお話。
「一人のバレエダンサーが主演の座を手にする」というストーリーですが「あくまでもこれは彼女のバレエ人生の、ほんの始まりなのです」という余韻を残したものになってました。
好きだな、こういうの。

お話しはバレエスタジオのレッスン場から始まります。
黙々とレッスンに励むシンデレラ(セミオノワ)に、おとぎ話では義理の姉に当たる先輩ダンサー、「甘い物好きのダンサー」「酔っぱらいのダンサー」が登場。
この二人の義理の姉ズ、もとい先輩ダンサーズをマラーホフと、今日はスパリッタという、いずれも男性が演じます(笑)

いや、継母や、時には義理の姉ズも男性が演じるのはよくあるんですが、特に今日はマラーホフということで、そこがまた興味深々でもありました(笑)

で、お話し。
意地悪な継母は芸術監督、気の弱いお父ちゃんはバレエ・マスター、仙女はシンデレラが憧れる往年のプリマ、王子はゲストダンサーということで、役割もそれぞれハマってます。
先輩ダンサーにいじめられたシンデレラはレッスン場に閉じ込められ、そこで泣き寝入りしつつ夢を見る。
いわゆる「シンデレラ」が、仙女=往年のプリマの魔法で美しいドレスをもらい舞踏会へ行き、そこで王子と出逢い、夢の一夜を過ごすという夢ですね。
そして夢から覚め、王子=ゲストダンサーと現実で再会し、主演の座を射止めるという話なのですが。

このストーリーのポイントはシンデレラが自らの足で歩くこと。

仙女からキレイなドレスももらいますが、かぼちゃの馬車にもムスタングにも乗らず、自らの足で舞踏会へ。
しかも夢から覚めたシンデレラはちょっと強くなっている。
先輩ダンサーズのイジワルに対抗するような、そんなちょっとした「勇気」も身につけました。
王子=ゲストダンサーが相手役を選ぶ時も、じっと待っているのではなく、意地悪な芸術監督に「ダメ!」と言われても自らをアピールすることで役を得るのです。
ガラスの靴も使わない。
「一歩の勇気」で手にした役なのですね。

役を手にし、仲間から祝福を受けるシンデレラ。
でも気が付いたら舞台の上には自分一人しかいない。
王子もいない。
あくまでもこれは彼女のダンサーとしての第一歩。
「夢」はまだ続く…。

というのが、マラーホフ版の「シンデレラ」です。
いや、いいだろうこれ。
私は好きだ。
しかも今日はオケが素敵な音を出していて、序曲も、あのワルツももちろん、余韻に花を添える終幕の曲も感涙物の美しさでした。

何より、やっぱり女装ダンサーズがすご過ぎ(笑)
主演はあの、セミオノワなのに!
彼女が地味にかすんで見えてしまうほどの存在感。
いつもなら「シンデレラ」を見終わるとあの妖しげなワルツが頭の中をぐるぐる回ってるんですが、今日は「オレンジ」のあの曲ですよ、義理の姉ズのテーマミュージックとも言える(苦笑)
それほどまでにマラーホフもスパリッタもノリノリ。
さすがパフォーマー・マラーホフ!
二人手を繋いで歩く仲良しなところもまた愛らしいというかなんというか(笑)
どうしてもこの二人に目が吸い寄せられました(苦笑)

今日の王子役のミハイル・カニスキン。
ノーブルですが、大人し目な感じの人ですね。
男性ダンサーの無音のジュテは久々!というほど丁寧で、神経の行き届いた踊りだったのですが、ところどころ怪しかったかな?
でもこういう地道に丁寧に踊る(あるいは踊ろうとする)人は好きです。
前はシュトゥットガルト・バレエにいたようで、バレエ教育の学士持ってるという、インテリさんでもあるというのも個人的には興味深いです。
もう何回か観てみたい人かもですね。

というわけで。
こういう「シンデレラ」は好きです。
マラーホフ版は前の「眠り…」もそうですが、話をコンパクトにして2幕に仕上げてあるところもいいな。

で。
ベルリン国立バレエはこのあと「マラーホフ・ガラ」、そしてあの!!(ダンダン!)エイフマン振り付けの!!(ダンダンダン!!!)「チャイコフスキー」が!!!(バシバシバシ!!!!)来ますっ(#^.^#)
マラーホフのチャイコフスキーなんて、どれだけ病んでいるんだ~~~(*´艸`*)と今から楽しみで楽しみでしかたないのですが…!
どうもその「チャイコフスキー」が仕事的にヤバそうで泣きそう(T_T)
見られるかなぁ…。
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by kababon_s | 2011-01-15 20:29 | Ballet