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モーリス・ベジャール・バレエ団2010日本公演:新生BBL

モーリス・ベジャール・バレエ団(BBL)の東京公演行って参りました。
今日は東京の楽日。
プログラムは「三人のアリア」「火の鳥」、そしてジルの新作「アリア」。
さらにサプライズとして「メフィスト・ワルツ」を特別上演!
「応援してくれる日本のファンの皆さんに感謝をこめて」というジルの計らいだそうですが、その心遣いが好きです、ジル・ロマン(#^.^#)

今日のお目当てというか目玉はやはり新生・BBLの芸術監督ジル・ロマンの新作「アリア」。
このジルの創作の苦悩は映画「ベジャール、そしてバレエは続く」にがっつり描かれているので、興味のある方はぜひ見てみてください。
お勧めです。
ベジャール亡き後に彼が背負ったとてつもなく重たい十字架と、それでもBBLを率いて前に進まねばならないジルや、それを支える団員や拠点であるローザンヌ市民の想いなんかがひしひしと伝わってきます(T_T)

そして「アリア」。
ミノタウルスの神話をモチーフにしたものですが、やはり見ているとこれはジル自身の苦悩のように思えます。
ミノスの迷宮はまるでベジャール亡き後に重荷を背負ったジルとバレエ団のよう。
心の葛藤やプレッシャーと戦いながらもがき、それでも光のさす方へ…いや、糸を手繰るように歩みを進める思いが切々と伝わってくる。

ベジャールという巨星が世を去り、しかし残された者はその偉業と志を伝えて行かなければならない…。
芸術監督として全てを託されたジルがどれほどの重圧に耐えてこの作品を作り上げたのか…。
そして彼はまたこのバレエ団を世に伝えるべく後継者も育てていかなければならないのか…と思うと本当に陳腐ですが「がんばれ…!」としか言えないのです。

「火の鳥」「三人のアリア」そしてサプライズの「メフィストワルツ」、先日上演された「ペトルーシュカ」や「春の祭典」、さらにはベジャールの名を一躍世に知らしめた「ボレロ」などなど、ベジャールが遺した作品は本当にどれも輝かしい。

その「魂」ともいえる作品を「伝えて行くこと」がどれほどの大変な、壮絶壮大なことであるか。
「創ること」にも苦悩が伴うが「伝えること」にも苦悩が伴う。
ましてやその「星」が大きければ大きいほどに。
でも過去の“名作”と言われたものもこうして伝えられてきたのだなぁ…としみじみ思いました。
がんばれ、ジル…!

by kababon_s | 2010-11-14 23:45 | Ballet