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ミハイロフスキー劇場バレエ団「海賊」:野郎がかっこよければそれでよし!

1月8日、ミハイロフスキー劇場バレエ団(旧レニングラード国立バレエ)の「海賊」@東京文化会館を見てきました。
今年の初バレエでした。
このミハイロフスキー、以前は年末年始にかけて、超激メジャーバレエを引っ提げて公演を続けていたバレエ団ですが、監督がドゥアトに変わり方向転換を図ってからとんと来なくなりました。
ですから今回は実に久々の来日公演ですが、でもドゥアトらしい作品をひっさげて…というわけではないというのもあってか、会場が残念なくらいガラガラ。

とはいえ個人的には「海賊」は好きです。
特に今回のキャストはコンラッドがルジマトフ、アリがサラファーノフと、私的には実に楽しみでしたね。
なによりミハイロフスキーに移ってからの生サラファーノフ全幕は見なきゃいかん、見たいぞ!というファン心です(笑)

だから海賊はちょうどいい演目でした。
もちろんストーリーは通じているようで破綻しているし、そもそもバイロン原作なんて言っていいのかってくらいハチャメチャだし、とにかくいろいろオカシくて、突っ込み始めたらきりがない。
意味はあるけど意味不明なコールドは衣装がフレンチカンカンでも違和感ないぞ的異世界音楽だし、原典をほじくり返すのも不可能だし、ほじくり返したら一層わけがわからなくなりそうな舞台なのに、それはそれでまとまっている。
実に摩訶不思議です。

それでもついつい「海賊」と聞くと見に行ってしまうのは、ひとえに野郎がかっこよく、キャラがたっているからで、だからこそキレイに踊るだけでなく、キャラのなりきり度が高ければ高いほど盛り上がる。
また組み合わせや配役によってガラっと雰囲気が変わるし。

そういう意味では今回のミハイロフスキーの海賊(言い遅れたが改訂はルジマトフ)は実に面白かった!

ますます異次元で孤高のオーラ炸裂のルジマトフ・コンラッドがすごいこと!
そこに男っぽさ貫禄も加わり、存在感と独特のキエフの太陽、オヒサマ的ボクちゃん個性がますます楽しいサラファーノフ・アリを筆頭に、狡猾そうなランケデム、最初から俺様丸出しで乗っ取る気満々(に見える)ビルバント(しかもイケメン)、まん丸で鞠が跳ねてるようなキュートなパシャ、プチまん丸のおネェっぽいパシャのお付きの2人組とか結構濃い。
ルジマトフ改訂故か、市場では男性奴隷の踊りもついている。
こりゃ楽しいだろう。

あってなきストーリーだから展開も早く、メドーラとコンラッドの出会いも目と目を見合わせた…と思ったらもう奴隷商人登場、あっと言う間に市場で気づいたら洞窟のアジトでピストルの踊りとか、余韻もへったくれもない(笑)
しかもメドーラがその他大勢と同じギリシア風衣装でギュリナーラがど派手な緑色の衣装なものだから、これ初めて見たらギュリナーラが主演かと誤解しそう。

でもそんな余韻抜きの展開とはいえ、それでも「みんなを国に返して」と懇願するメドーラに対するコンラッドの間、「バカなこと言ってんじゃねぇぜお頭!」とばかりにビルバントに詰め寄られしばし考えるコンラッドの間に、「そうか、ここで娘たちを国に返さなかったら一層禍根が残るかもなぁ」と、物語的なものを感じてしまったのですが(^_^;)

そして寝室でのメドーラとコンラッドのパドドゥで、メドーラと2人で大海原に向かって手を広げるところでは、「そうか、コンラッドの夢、生きざまってこれか」なんて妙に感心してしまったんですが(^_^;)
つまりメドーラにホレてしまった色ボケ「だけ」のコンラッドではなかったのだな、と思ったり。
ロマンか?
なけなしの、原作・バイロンのロマンか!?(←多分違う)

そのルジマトフ。

言わずと知れたもうアリといえばルジマトフ、というくらい、この海賊という演目では伝説のダンサーですが、コンラッドも実にいい。
というかもう存在感や放つオーラが本当にこの人だけのもので、どうしても目がそちらに行きます。
吸引力というのか、文字通り吸い寄せられる。
しかも悪党っぽいワイルドなコンラッドです。
海賊の親分だ。
以前、だいぶ前にルジマトフ主演の「ラスプーチン」を観ましたが、この怪僧的なキャラがやっぱりこの人の素の姿に近いのかなぁと改めて思ったり。
断っておくと、私は特にルジマトフのファンというわけではないのですが、実に孤高のダンサーで人としてのキャラが興味深すぎるのです。

キャラができあがっていて、この人は「ルジマトフ」だろう絶対、というものがある。
それでいて、このお話の中ではコンラッド。
でもルジマトフ。
いやぁ、早々お目にかかれないと思います、こういう人は。

そして久々のサラファーノフ。
今にして思えば、ルジマトフとは全く正反対の、キャラ濃いだろう同士の競演が、実にうまくかみ合っていたのでは、と思われます。
サラファーノフが大人だったか??(笑)
細かい演技に大技はばっちり決めてきてまったくぶれないのがすごい。
というかますます磨きがかかっている。
すごい人だ。

繰り返しますが、私はサラファーノフ大好きなんですが、多分一緒に持ってきたジゼルのアルブレヒトを見たらどうしても笑ってしまって「ジゼル」がぜんぜん別物になりそうだったので、今回は海賊一本に絞りました。
この人は妙な笑いのツボを突かれて困るのです。
ホントに好きなんですけど(笑)

ともかく。
やっぱりノーブルさもあり奴隷に見えないけど、でも彼のアリはいいです。
コンラッドに忠実です。
てかコンラッドの親友のようなアリだ。

お嬢様のようなギュリナーラはパシャに売り飛ばされてからちゃっかりその生活でお姫様のように暮らしていて、派手好き、お嬢様性格という位置付けだったのでしょうか。
最後はちゃっかりアリの彼女然として脱走して、メドーラ&コンラッド、ギュリナーラ&アリの船出……はずだったんですが、残念ながら船が何かに引っかかってしまったのか、出ませんでした。

なもんで、最後は男性群舞による海賊踊りで幕。
初めて見た人には「??」だったのではと心配しますが、でもまあこのはちゃめちゃ加減も海賊らしくていいです。
細かいことは気にするな、もともと破綻しているんだから。
野郎がかっこよければすべてよし、だ。
以上。
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by kababon_s | 2015-02-07 03:06 | Ballet