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LFJ東京2012「サクレ・リュス」:民族音楽も聖歌も ~携帯は切りましょう~

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン(LFJ)東京2012が始まりました。
5月3日から5日まで、たっぷりクラシック音楽のイベント。
「東京」と付けねばならなくなったほどに、新潟や金沢、びわ湖など、日本各地で行われるようになった、フランスのナント生まれの音楽イベントです。

今年のテーマは「ロシアの世紀」ということで、ロシア音楽。
チャイコフスキーにラフマニノフ、ショスタコーヴィチ、グリンカにボロディン等々、ロシアの有名所がたっぷりで、ロシア音楽好きにはウレシイ限り。
さらに民族音楽や教会の聖歌なんかもあって、本当にロシアどっぷりの3日間になりそうです。

今日はまず午後のテレム・カルテットから。
ロシアのマンドリンにアコーディオン(みたいなの)、どでかいバラライカの四重奏で、曲目は民族音楽、民謡からクラシックのアレンジまで。
もう楽器を抱えて出てきた瞬間こみ上げるものがあるのは、何なんだ??
とにかく、ぢつは私はロシアの民族音楽や教会音楽が好きでたまらないのだが、本当に広大な草原を感じさせてくれるような音楽の連続で、うるうるが止まりませんでした。

そのあとはCDやオリジナルグッズなんかを眺めていたら、思わぬ方にばったり!出会い、互いにびっくり。
次の公演まで腹ごしらえしようと、牛たん定食食べながら、しばしお話も楽しめました。

続いて今日の目玉、モスクワ司教座合唱団へ。
これがすごかったです!
本当に素晴らしかった。

ロシアの教会音楽CDは何枚か持ってて、とっかえひっかえ聴いているんですが、やっぱり生の迫力は全然違う。

今回は古くは15世紀の祈祷や賛歌のほか、ラフマニノフ作曲の聖歌や民謡まで入っていたのですが。
何より心揺さぶられて震えもナミダも止まらなかったのが重連祷。
正教の讃歌で、輔祭の祈祷と合唱が繰り返される音楽。
とてもロシアらしい、ロシアの教会音楽といえばこれだよ!と思っているんですが、これが本当に、なんと表現していいのか。

身体のなかに音楽や音、言葉が一気に入り込んで、内側からもう感情というか琴線全てががっしり包み込まれてしまう感じというのか…。
大地から沸き上がってくるような、どっしりと足を下ろし、でも高く広い空へ向かって力強く伸びていくような「祈り」。
とにかく、「音楽」を聴いてこんな思いをしたのは初めてで、本当に素晴らしい、得難い衝撃でした。

ちょっとインターバルの後、今度はチャイコフスキーのピアノ協奏曲1番
ピアノは毎年おなじみのブリジット・エンゲラーさんのはずだったのですが、残念ながら急病で来日できなくなり、代わりに韓国人の若いピアニスト。
でもオーケストラがベアルン・ポー管弦楽団。
銃士の国から来たオーケストラ、ということで行きましたが。

まあ、ぶっちゃけ国際フォーラムAホールの音響って、あまりよろしくないと思う。
特に後ろの方は、音が遅れて聞こえてくることもあって、さらに急なピアニスト変更ということもあって、合わせるのは大変だったのかな。
ピアノが先走っちゃって、ちょっと残念なチャイコPコン1番でした。
1曲目のショスタコーヴィチの「バレエ組曲」の方が良かったです。

そして最後が目玉の一つ、チャイコフスキーのピアノ協奏曲2番
ピアノはすっかり有名人のベレゾフスキーです。
ノーネクタイのラフな格好で現れるから、なんだか嬉しくなります。

滅多に演奏されることがない曲というので楽しみにしていたんですが、これが本当に良かった!
ピアニスト泣かせ(であろう)凄まじい超絶技巧のコンチェルトだと思うんですが、それをものともせずに弾いてのけるベレゾフスキーがスゴすぎ!
音響の悪いAホールでも、さほど気にならないくらいにパワーとエレガントさにあふれた演奏でした。
パワーあふれる第1楽章に、第2楽章はピアノとヴァイオリンとチェロの会話みたい。
第3楽章を聴いてて、チャイコフスキーってやっぱり魂はロシアの人なんだなぁ…としみじみ思いました。

惜しむらくは、この静に、ゆるやかに奏でられる第2楽章で、高らかに携帯を鳴らした大馬鹿者がいたこと。
LFJは安いチケットで、クラシックを身近に楽しむのがコンセプトだし、同時に、クラシック入門的な意味合いもあるから、あまりうるさいことは言うつもりはないんですけどね。
楽章と楽章の間の拍手はご愛嬌だし、バレエだったら絶対許せない前ノメラーも、しょうがないなぁ…、と思う。

でも、ホントに携帯鳴らすのだけは許せん!
ホールに入ったら携帯は切れ!
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by kababon_s | 2012-05-04 02:51 | Music

東響定演:サントリーホールのP席はやっぱり楽しい

先日東京交響楽団の定期演奏会に行ってきました。
曲目はシューマンのチェロ協奏曲イ短調 Op.129とシェーンベルク編曲のブラームス ピアノ四重奏曲第1番ト短調 Op.25。
指揮は大友直人さん、チェロ協奏曲には宮田大さん。

会場はサントリーホールなんだが、ここは何度行っても楽しい。
カバ的指定席はオケを後ろから眺める、バックステージ側のP席。
大体ホルンやパーカス、コントラバスの後ろだったりするが、指揮者の顔がまともに見えて、またオケの皆さんの舞台裏を見ているような感じがとっても興味深いのですよ。

何というか、厨房を覗いているような面白さと言うのか。

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by kababon_s | 2011-09-20 01:24 | Music

LFJ2011:日本を思って来てくれてる方々

ラ・フォル・ジュルネ(LFJ)2日目。
今回のチケットは先行予約が7勝1敗。
結構上出来だと思ってたんですが、「1枚しか取れなかった」という方々も結構いらっしゃる。
私が取ろうと思ったチケットもとい演目って、実はマイナーというか、第2特集系だったのだろうか(苦笑)

で。
今日はヴォーチェス8から始まりました。
アカペラというよりはゴスペル?
教会音楽風の8人組の英国人のコーラスグループです。
ブラームスやレーガーのモテット。
モテットですから教会音楽で、今回の日本の震災や事故に対し「音楽の力で人々を勇気づけることができれば」という気持ちがひしひしと伝わってくる選曲です。

また彼らに敬意を表したいのは、挨拶はもとより、曲の説明すべてを一所懸命に日本語で話してくれること。
おそらく音楽事務所か通訳さんが作った日本語ローマ字化原稿を読んでいると思うのですが、日本の公演で、原稿読みでも日本語で伝えようと思う、その心遣いが本当にすばらしい。

といいますのも。
旅行とかで国々を回ると、特に英国・米国など英語圏の方々は「英語なんてどこでも通じる」とハナから決めてかかってるし、それゆえ英語圏の国々は外国語学習率も非常に低いのです(なんせケンブリッジは外国語が必須科目ではなくなったと、新聞でも報道された)。
同様に、これは(全ての人ではないにしても)英語一辺倒の学習者にもいえることで、英語が通じないと「何で英語が通じないんだ」と言う人が実に多かったりします。
被支配国に言語を奪われた歴史を持つ欧州諸国にとって、「言語=国の誇り=国の歴史」です。
それゆえEUには「共通語」はありません。
EU加盟国全ての言語が共通語なのです。
ですから英語=共通語という考えは大間違いですし、英語一辺倒というか英語狂信は、非常に危険な勘違いなのです。
とまれ、訪れた国の言語を片言でも話すことは、やはりその国に対する尊敬と親しみを表すことになるわけです。

して、話はそれましたが、ヴォーチェス8の方々。
「ドモ、アリガトウ」のみならず、「コノ キョクハ Brahms ガ Bach ノ オンガクニ エイキョウヲ ウケテ ツクタ モノデース」と、延々と頑張ってくれるわけですよ。
いやもう、さぞかし大変だったでしょうに・゚・(つД`)・゚・
こういう英国人もいるんだ~!!と、本当に感動しました。

しかもアンコールには気の利いた「トトロ」のアレンジバージョン(笑)
もうCD買っちゃうよ。
サインもしてもらっちゃうよ!
てか、してもらっちゃったよ(笑)
サイン会で「来年も来てね」と言ったら、「是非そうしたい」と言ってくれました。
来年はチケット争奪戦かもですね。

そして、よくチケット取れたな~と思ったのが、クレール・デゼール。
100人程度の小さな会場なので、無理かと思ったのですが、やはりベルクのソナタはマイナーでしたか(苦笑)
いや、ベルク目当てより、ブラームス狙いのお客さんの方が多かったでしょうけど(苦笑)

クレールさんは毎年LFJにいらしてる常連さんです。
彼女の細やかで丁寧なのに、ワイルドでダイナミックな演奏が好きで、チケットが取れる限り聞いています。
彼女は5月2日の前夜祭の時も演奏してくれたのですが、日本に惨事が起こったとき、いの一番に「私は行くからね!」と決意表明をしてくださった方だとか。
本当にありがたいことです。

クレールさんが終わって階下に降りたら、なんとOTTAVAブース前で噂のポーランドのアコーディオングループ、モーション・トリオが生演奏!
ハンガリー舞曲5番と、そして「日本のために」とわざわざ時間を割いて演奏してくれたのが、特に涙と哀悼を表現したというショパンの24の前奏曲の4番。

先の言語の話じゃないですが、ポーランドはご存知の通り周辺諸国から何度も何度も侵略を受け、国自体が地図から消滅したこともあり、また爆撃等々で国が何度も焦土と化したことのある国です。
今回の日本の有事に際し「他人事とは思えない」と、メンバーのお言葉。
涙出ます。
その時の状況やモーショントリオのコメントがOTTAVAのブログにもUPされているので、併せてご覧ください。
英語でコメントしたモーショントリオに対し、「母国語ではないのに」と記述されている本田さん、ステキ。

そして本日3つ目はLFJのテーマ「タイタンたち」の枠を外した特別コンサート。
それでもブラームスが1曲紛れている辺り、フランス人…ってかルネ・マルタン、どれだけブラームス好きなんだよ(苦笑)

やはり震災への「哀悼」をテーマに置いた選曲で、ヘンデルの「パッサカリア」やシューマン、フォーレ、ドボルザーク、特別編曲の「五木の子守唄」などなど、心安らかになるような曲が並んでおりました。

本当に、この状況でわざわざ来てくださる方々、演奏の一つひとつから、日本に心を寄せてくれている…というのが伝わってきて、痛み入ります。
と同時に、ありがたい。
不安や被災地への想いが消えるはずもない。
でも、心のこもった音楽を聴いて涙を流すのって、本当に気持ちの洗濯になるような気がします。
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by kababon_s | 2011-05-04 23:03 | Music

LFJ2011:「浄夜」でクリムト色

今年もやって来たGW好例のクラッシック音楽イベント、ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン(LFJ)。
廉価で良質の音楽が聴ける上、結構レアな曲目などもあって、(大人しく座っていられない子供がやかましかったりするけど)毎年楽しみにしているのですが、今年は震災や原発事故の影響で、開催2週間前にプログラムが全て白紙になるなど、いったいどうなるのかとても心配していました。
でも結局規模縮小とはいえ、無事開催されることになり、本当に良かった。
そしてこの状況の中、来てくださったアーティスト達には、本当に感謝の言葉もありません。

特に今年のテーマ「タイタンたち」にはシェーンベルクも名を連ねており、また「浄夜」がオケ版、弦楽六重奏版と2種類聴け、「月に憑かれたピエロ」もバレエ付きが上演されるとあって、ものすごく楽しみにしていました。
白紙化されたときはかなりがっくり来ていたのですが、ちゃんと狙ったプログラムは復活したので一安心です。

で、「浄夜」。
デーメルの詩に曲を付けたものゆえ、曲にはストーリーがあります。
素晴らしい解説があるので、ストーリーの詳細は こちら で。

「浄夜」といいつつ、朝から弦楽六重奏版、オケ版と連荘で聴き、さすがに頭がすっかりクリムト色。
金銀きらめく「接吻」の世界さながらで、世紀末ウィーンの香りが漂う、生々しくも美しく、また官能的で崇高な曲です。

弦楽六重奏版もオケ版もどちらも味わい深いです。

弦楽六重奏版はプラジャーク室内弦楽四重奏楽団+αの六人組。
バイオリン、ビオラ、チェロにそれぞれ風の音、木々のざわめき、女声、男声、重々しい心情から魂を天へと仰ぎ上げるような地の力…といった“配役”があり、白々と光る月明かりの枯れ林の中で会話を交わしているような雰囲気が六重奏版の特徴。
冬の月明かりに照らされた夜空を、白い星明りと綿雪と、心を紡ぎ合う2つの魂が昇華して行くような美しさとエロさは身が捩れんばかりに素敵でした…(T_T)
コンサート終了後、会場をうろうろしているプラジャークの面々を発見し、おもわず「素敵な演奏だった。来てくれてありがとう!」と声をかけた私は、すでにクリムト色の頭のせいでリミッターが外れてましたな(^_^;)

オケ版は山田和樹指揮、横浜シンフォニエッタ。
コンマス…というかコンミスだったのが、この曲にはふさわしいです。
オケ版ではコントラバスも加わり、また人数も増えるので、舞台に奥行きが出る感じ、というのでしょうか。
山田さんのシャープで、「滲み出る情熱」を抑えつつの指揮は素敵でした。
普段CDで聴いているのとは違った音が聞こえてくるのも生オケの醍醐味というか。
第4楽章の女声パートのバイオリン、コンミスの旋律がとても透明で、りんと前を向く女性の涼やかさが感じられました。

「浄夜」2つも聴けるなんてシアワセすぎる…。

今日はこのほかボリス・ベゾレフスキーのリスト「超絶技巧」全曲に、「メフィストワルツ」、インターネットラジオ「OTTAVA」特設スタジオ前で、今回話題の声楽グループ「ヴォーチェス8」のモテットと即興「トトロ」を聴きました。
ヴォーチェス8(エイト)、昨日の前夜祭コンサートにも来ており、ブラームスのモテットを聴いた時はもう衝撃でした。
名前はなんとかファイブとか、スーパー戦隊みたいですが、英国聖歌の伝統を引き継いだ、素晴らしいアカペラグループです。
ロイヤル・ウエディングで流れたラターの聖歌といい、英国音楽シーンはかなり面白いかもしれません。

OTTAVAではゲストにルネ・マルタン氏が登場。
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早速来年はロシア音楽特集という発表がありました。
来年も通いづめ決定(^_^;)
あと2日あるんですけどね。
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by kababon_s | 2011-05-03 23:17 | Music

ズービン・メータ&N響「第九」:でも、この大地を踏みしめて

上野の東京文化会館で行われる特別チャリティーコンサート、ズービン・メータ指揮、NHK交響楽団演奏の「第九」行って参りました。

公演前に上野の桜を見物。
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すでに改札口がスゴイ混雑で、いつもならうんざりしそうなところなのですが、今日はなんだか久々の人混みが嬉しかった。
青シートで花見をしている方々や、パンダを見に行ったのであろう親子連れなんかもたくさんいて、なんとなくいつもの東京の春…のような雰囲気が感じられました。

でも上野の、毎度おなじみ東京文化会館はやっぱり少しダウンライト状態。
とはいえこのくらいの灯りでも十分なのですよ。


そして本日の公演
相次ぐ海外演奏家の公演&来日中止のなか、「(日本のために)何かしたい」と多忙なスケジュールを縫って、この日、ただ一日のために来日してくれたというズービン・メータ氏の想いには、本当に「ありがとう…!」という言葉しかないです。
もちろん収益は全額寄付です。
私のチケット代も寄付です。
高いチケットだけど、しばらく(また)賞味期限ギリギリ安売り食品生活になるけど(笑)、でも、これでいいのだ。

そして今日の演奏、このチャリティーコンサートならではの、この日この時この時期ならではの「第九」でした。

冒頭、メータ氏による挨拶。
被災者に対する黙祷と、犠牲者に捧げる「G線上のアリア」が演奏されます。
円く優しい、流れる音色。
N響らしい…というのか、堅実で生真面目な(?)、でも包み込むような音色は鎮魂にふさわしいものだったように思います。

そして、演奏はそのまま「第九」へ。
メータ氏も3.11のあの日、フィレンツェ歌劇団の公演のため東京にいたそうです。
あの揺れも体験されたことでしょう。
地震慣れ(?)している日本人だってあれだけ怖かったのだから、外国の方々にはさぞや恐ろしかったに違いありません。

あの揺れを、3.11を体験した共通の想いがどこかに潜んでいたのでしょうか。
今日の「第九」にはとにかく、音楽を聴いて感じる夢見心地・異世界的なものはありません。
華々しさや派手さを抑えた…というか、しっかり大地を踏みしめるような、一歩一歩を着実に進む演奏というのでしょうか。
あるのは「現実」、示す先は「未来」です。

抑え目のティンパニやコントラバスの静かな響きが、あの日の地響きや震災を静かに思い起こさせます。
どんなに文明や科学や技術が進歩しても、まるで人の力をあざ笑うかのように全てを奪い、変えていく猛威。

音楽から伝わってくるのは、凄まじい現実と太刀打ちできない自然の力を淡々と受け入れ、この逃げ場のない、どこへ行っても地震から逃れることなどできない「日本」という大地の上に立ち、ただ手を携えて一歩一歩進んでいこう、という思いでした。

思えばベートーベンがこの「第九」を作曲した時、彼の耳はほとんど聞こえなかったとか。
そんな苦しみのなかで作られたにもかかわらず「歓喜」「希望」を高らかに歌い上げる、音楽史上の不朽の名作。
このコンサートに、これ以上ふさわしい曲はなかったでしょう。

一歩一歩進む、その傍らに携えるのは「希望」。
第4楽章のコントラバスが奏でるあのお馴染みのメロディは、猛々しく残酷な、荒ぶる自然が持つもう一つの側面「巡りくる優しい季節の訪れと命の恵み」のようです。
打ちのめし、しかし人を癒しもするこの大地の力…!
破壊しながらも生み出す、恐るべき命の、自然の力です。

合唱は今回韓国から参加してくださったバス歌手のアッティラ・ユン氏のソロから始まります。
地から天へと、低く、しかし朗々と響く力強い歌声は、まさにこの大地で生きる「人間」の、人の声。

続いて湧きおこる合唱は、この大地で手を携えて生きるのだという、まるで決意の表れのよう。
「人の力」に満ちあふれた歌声は圧巻の一言です。
サイトウキネンでもお馴染みの東京オペラシンガーズ…すごい!
そして合唱隊に向かって両手を大きく広げるメータ氏の姿は「指揮者」というよりも、「さあ、一緒に行こう!」と語りかける“同朋”でもあるかのようでした。
大きな背中が神々しい…!
ああもう、滂沱滂沱。
花粉の鼻水も何もかもがいっしょくたに流れますよ。
ボロボロだ~(泣)

思えば昨年の秋、ズービン・メータ&イスラエルフィル、モーリス・ベジャール・バレエ団と東京バレエ団の競演に行った時は、会場を越えて宇宙を包み込むような音だと思いました。

でも今回のは違う。
この会場から、おそらく我々が携えて外へ、人々へ、世界へと伝える「音」なのかもしれません。
鳴りやまない拍手は、最初からスタンディング・オベイション。
そしてブラボーの嵐。
音楽は本当に力をくれるのだ、と心底実感した慈愛に溢れた演奏会でした。
うん…、なんとかやっていけそうです。

「来年、被災地で耐えている人達が幸せな気持ちで桜を見ることができますように」
冒頭にメータ氏からこんなメッセージが語られました。
本当に、すぐには無理なのでしょうけれど、でも来年は桜の下でそれぞれが想いを馳せることができればいいなぁと、ホントに思います。


ちなみに本日の公演、4月17日のN響アワーと24日のBSプレミアムで放送されます。
お好きな方はぜひぜひ!
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by kababon_s | 2011-04-10 23:37 | Music

レンディーネ「受難と復活」:クリスマスに聞き浸りたい

現代クラッシック??というのか、コンテンポラリー・クラッシックというのでしょうか。
コンテンポラリー・オーケストラ??
つまりは現代の音楽家が作ったオーケストラってのにハマりつつあります、最近は。
現代オーケストラというのでしょうかね。
過去から現在、未来につながるクラッシックの系譜の現在進行形みたいな感じもしておもしろいんですわ。

特に最近聞いてめちゃめちゃハマっているのがセルジオ・レンディーネの、「受難と復活」。

レンディーネはイタリアはナポリ出身の音楽家。
ナポリってもう、これだけで結構泥臭いというか、イタリアの中でもまた別物のようなお土地ゆえ、どんな変わった感性を持っている人なんだと思ってしまう。

実際この「受難と復活」は文字通りキリストのパッション。
受難9楽章、復活3楽章。
男性、女性の歌とオーケストラなのですが、歌詞は南イタリアの方言だという。
泥臭く、またどこか原初の民族音楽を彷彿させるメロディーがおどろおどろしさというか、人間のカオスというか、清濁が混沌と渦巻くようなものを余すところなく発揮して、まあとにかく「面白い」としか言いようがないんです、ボキャ貧のようですが。

そしてまたすさまじく荘厳なのです。

伝統的な「クラッシック」のミサ曲と同様、確かにこの曲も天に向かって讃えている。
哀しみ、呪い、絶望し、歓喜し、喜び、讃える。
ゴルゴダの丘に立つ3本の十字架、鞭打たれ自ら十字架を引きずる血みどろの苦難、磔刑、神の子羊、とどめを刺す槍。
イエスが息絶えたところの怪しいサクソフォンなんて、どうも菅野洋子のカウビのBGMを想像するようなやり切れなさも漂ってきます。

そしてなだれこむ、たたみかけるような「復活」。
パーカッションがとにかくすごい。
ドラムセット??
原初の人間の純粋な歓喜を思わせる、高らかで、しかし力強い饗宴…狂宴…??
アレルヤを唱えながら大地を踏みならして踊り狂う、トランス状態に陥ったかのような、人の宴であり祝福であり歓喜が感じられる。

ああもう、なんて面白すぎる!(こればっかり)
クリスマスの第九ももちろんいいんですが、このレンディーネの「受難と復活」をやってくれるような、心意気のあるオケあるいは興行会社はないもんですかね!?

イタリア本国じゃ教会で演奏されたという。
ああもう、ぜひ聞いてみたい、教会で!
あの丸天井に響く「復活」はもう、すさまじいとか迫力とか、そんな言葉を越えるものがありそうな気がします。
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by kababon_s | 2010-12-24 01:09 | Music

LFJバッハ:ベルサイユのブランデンブルク

今年も行ってきたラ・フォル・ジュルネ(LFJ)・ジャポン。
今回のテーマはバッハ大先生であります。

このほど聞きに行ったのはピアノ連弾プログラム4曲、「ブランデンブルク協奏曲」、「トッカータとフーガ」をはじめとするバッハのオーケストラ・アレンジバージョンでした。

ドイツ風味バリバリのバッハ大先生ですが、指揮をする人の解釈によってこんなにも違うものか…!と改めて実感したのが「ブランデンブルク協奏曲」です。

華麗な中に何かこう、襟をビシっと正すようなテイストが感じられる「ブランデンブルク」ですが、今日のはなんだか花びらが飛ぶような華麗さ。
めくるめくカラフルな世界、花々が咲き乱れるきらびやかさは何だろう??
…と思っていたら、終演後、本日のバッハマニアの連れいわく。
「フランス人が振るとこうも違うの!? お国柄というか、国民性って出るのねぇ!」

そうか!
本日の指揮者はフランス人。
きらびやか、華やかなのはフランス宮廷のテイストだったのでしょうか。
いや、まさにベルサイユのブランデンブルクだったんですねえ。

バロック音楽は急緩急の分かりやすい3部構成。
当時使われていた楽器は現代の楽器のご先祖というもので、今のものに比べると強弱が付けにくいものだと聞きます。
それゆえ、シンプルといえばシンプルですが、だからこそ解釈の違いでこんなにも違ったイメージになったりするわけですねぇ。

もう一つのプログラム、オーケストラバージョン。
会場の国際フォーラムはとにかく何が残念ってオルガンがないこと。
それゆえに今回は「トッカータとフーガ」「パッサカリアとフーガ」といった有名なオルガン曲がオーケストラアレンジで聴けたともいえます。
また逆にオーケストラ・アレンジとういうものも滅多に聞けるものではないでしょう。
しかも演奏は都響だし。

「パッサカリアとフーガ」は特に出だしの重厚な響きがどっしりとくる感じで、オルガンとはまた違った味わいがあります。
と同時に、オルガン・バージョンもきちんと聞いてみたいなぁと思わせられました。

昨日聞いたのがピアノ連弾。
本来チェンバロ連弾で作られたもので、今回は2台、3台、4台のピアノです。
ピアノ4台というのは相当に迫力です。
というか、4台並んでいる姿がなんともかわらしいと言いますか(^_^;)

ピアニストにはベレゾフスキー&エンゲラーが名を連ねます。
あれ、あの丸いおばちゃん、どこかで見た…と思ったら。
音を聞いて思い出しました。
昨年のシューベルトの折に、やはりこのコンビで「ます」をやっていました。
アンコールがチャイコの「眠り」のパノラマ&ワルツだったっけ…。

チェンバロは強弱が付けられない楽器ゆえに、だからこそピアノの発明は革命的であり、またピアノはつくづく打楽器だと感じます。
それがまたピアノの魅力ですが。

コンサート終了後にバッハ・マニアの連れがプレイヤーに入れている曲をいくつか聞かせてくれました。
それを聞いて思ったのが、バッハ先生、音楽が教会から宮廷にうつるあの時代を考えると、相当にドラマチックでストーリーのある曲を作っていらっしゃる。
規律・規則を守りつつ華麗で想像力/創造力に満ち、それでいてどこか襟を正すところがバッハの魅力のように感じます。
やっぱりバッハはドイツなんだと、思うわけであります。
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by kababon_s | 2009-05-04 23:22 | Music

ラ・フォル・ジュルネ2008:4手のピアノとウィーンの香り

今回は最終日に2つのプログラムを聴きに行きました。
両方とも1台4手のピアノ・プログラム。
いやぁ、シューベルトってこんなにたくさん連弾曲を作っていたのかと、改めて知りました。
「歌曲王」のイメージが強すぎて…(^_^;)

曲目は「ます」「ロンドイ長調」「幻想曲」をロシア&フランスのピアニスト。
「幻想曲」「ロンドニ長調」「4つのレントラー」「ポロネーズ」「2つの特徴的な行進曲」をフランス人のデュオで。

「ます」はピアノ教本で有名なツェルニーの編曲だったんですね。
「レントラー」「ポロネーズ」「行進曲」などはあまり聴くことがないんじゃないでしょうか?
メジャーどころからマニアックなものまで幅広く聴けるのがこのイベントのいいところです。
今回もたった2つのプログラムとはいえ、十分に堪能できました。

普段あまり聴くことのないシューベルトですが、こうして改めて聴いてみると、本当にこの人はウィーンっ子で、そして仲間たちが大好きだったんだなぁと思います。
「ます」は、なんだかウィーンの森や郊外の小川の風景、はねる鱒にバター焼きが脳裏に浮かんできたり…。
つくづく陽気な遊び心に富んだ楽しい曲ですね。
「4つのレントラー」「ポロネーズ」「2つの特徴的な行進曲」の連弾曲は仲間たちと一緒に自ら弾いたとか。

シューベルトと言えば必ず出てくる、彼らを支えた仲間たち「シューベルティアーデ」。
歌曲や連弾曲が多いのは、ひょっとしたら彼らと歌い、一緒に弾き、楽しむためだったんじゃないかとさえ思うほど、今日聴いた曲はどれもが楽しくなるような陽気さ、幸せ感がありました。

実生活だけをみればシューベルト自身は口べたで、サリエリに音楽を習っても、教えるのは下手だし好きじゃなかっようだし、教師も辞めちゃうし、まあ世渡り下手で女の子も口説けず彼女なしで、素寒貧。
本当に惨憺たる貧乏生活だったとは、先の「音楽の家」でも聞きました。
(ただ「稼ぎがあるのになぜビンボーだったか」については諸説あるようですが(^_^;))
こうして書き出してみると散々ですが、でも友人には恵まれた。

音楽で稼ごうというより、仲間と音楽を囲んで好きな曲を作り、楽しみ、また楽しんでもらえるのが好きだったのかもしれません。
意外とオプティミストだったんじゃないか。
明日の飯より今日、この時の楽しみ。
稼いだそばから使ってあっという間になくなって…などと、いろいろ想像させられるコンサートでありました。


が。
正直申せば今日一番印象に残り、かつ大感動&滂沱し震えが止まらなかったのはフランス&ロシア人デュオによる、アンコール曲でした。

だって、チャイコフスキーの「眠れる森の美女」の「パノラマ&ワルツ」ですよ!

フランスの童話をベースにしたロシアのバレエという、このデュオにふさわしい選曲!
しかもピアノ4手で…!!
こんなの滅多に生で聴けない!!
…シューベルト、吹っ飛びました(^_^;)
私はやっぱりチャイコ好きv

ちなみに来年2009年は「バッハとヨーロッパ」だそうです。
来ましたね~、バッハ大先生。
パパ・ハイドンも来るかな??
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by kababon_s | 2008-05-06 23:36 | Music

SALTATIO MORTIS「MANUFATCUM」:メタルな中世

昨年末にドイツ・ワイマールの中世市場で買ったCD、SALTATIO MORTISの「MANUFATCUM」。

中世市場、つまりドイツ年末の風物詩、クリスマス・マーケットの中世風コスプレ市場のことです。
文字通り、市場の売り子さんたちがみんな中世風のコスプレしている市場なんですが、さすがドイツ、本場という感じ。
灯りも松明と蝋燭中心で、中世の雰囲気に溢れていていい感じなんですね。

そんな夜の市場に流れていたのがこのCD。

電燈に吸い寄せられる蛾の如く、CD屋台に行って聞いたところ「中世風の音楽をやるバンド」だとおネエさん。
そのまま1枚買ってしまいました、15ユーロ。

帰国後、ネットとかで調べてみると「ゴシック・メタル」とか書いてあって「中世風」というコトバは見当たらない。
雰囲気にほだされて、間違ったもの買ってしまったのか……と思いましたが。

やっぱり中世でしたε-(´∀`*)ホッ

モダン中世といいますか、メタル風中世とでもいいますか。
生粋のミドル・エイジではないんですがね。
でも楽器もほとんど中世のタンボーとかバグパイプのような胃袋楽器などが中心。
アップテンポで今風なアレンジも感じさせるけど、ボーカルの人のドイツ語のダミ声なんか、「さぁさ、御用とお急ぎでない方は寄って候」みたいな、ごっつい客引き声です(^_^;)
きっと中世街広場の賑わいの中で大道芸人よろしく演奏したって、違和感はないに違いない。

巷のネットで芳しい評価がなかったのは「メタル」「ロック」と思って買ったからかと思った次第です。
いや、中世音楽に興味のある方は聞けるのではなかろうか。
この人たちがドイツのどこの出身かは知りませんが、「知と創造の街・ワイマール」で出会えたことに、なんかウンメー感じたりします。

オフィシャルサイトはこちら。
http://www.saltatio-mortis.com/
全部ドイツ語でした(^_^;)
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by kababon_s | 2008-01-31 23:13 | Music

Der Zibet:復活してたのか……!

いや、ひょっとして多分に今更的な話題かもしれませんが、Der Zibetの復活
年末にはコンサートをやっていたというから……やっぱり今気付いた私が遅かったか。

「何故今……」と言う感じと、素直に「また新しいCD出るかも」という期待が入り混じり、なかなか嬉しくもフクザツです(^_^;)

最初の出会いは「GARDEN」でした。
世を呪い自分の殻にこもる一方、こんなに世に向かって手を開き、世を、人を愛してやまない世界。
内向きと外向きが同時に共存する世界とでもいいますか。
「人」が息づくほのかな光を放つ惑星の周りを寄っては離れ、離れてはまた寄るという浮遊感とでもいいますか。

なかなかコトバにするとフクザツになりますが、ある意味人としての業のような、混沌(カオス)のなかに咲くFlowersのようなISSAYの“美学”がたまらなく好きです。

新しいCDっていつ出るんでしょうね。
あれから十数年を過ぎているわけですから……変わっていないはずないとは思うんですが。
でも、フクザツながらも、やっぱり素直に楽しみのほうが大きいかもしれません。
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by kababon_s | 2008-01-12 13:23 | Music