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「ベルサイユのばら展」:「アナログ」のパワー&パッション

「ベルサイユのばら展」行ってきました。

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東京は松屋銀座8Fで9月24日までです。

今回は感想の視点がかなりオタクですが、ご容赦ください。
ベルばら世代かぶってるから仕方ないの(苦笑)
でも、ダンスやバレエ、舞台もそうだけど、やっぱり本当の思い、パッションをより強く伝え、残る、あるいは語り伝えられるものは「人の手」「人」による生のものだと、強く思いましたね。


ともかく、ほんとに見ごたえたっぷりの展示でした。
「今日松屋は大変な人ですこと」ってのはもちろんだけど、内容がすごすぎる!
松屋のギャラリーだから、そんな時間はかからないかと思ってたら、終わってみたらたっぷり2時間半は見てましたよ。

4部構成で、1部が原作ベルばらの原画をエピソード順に、合計100余点くらい??
2部は宝塚のベルばら。
歴代ポスターや衣装、セットに歴代ヅカのベルばら舞台をまとめたDVD上演付き。
3部はアニメのベルばら。
セル画、設定資料集に懐かし名場面のダイジェスト上映。
4部は「ベルばらKids」の原画に池田理代子インタビュー映像、昔の週マの数々、漫画家、イラストレーターのオスカル画色紙に声優さんのサインなど40数点。
相当な見応えでしたよ。

●第1部:漫画に必要なのは「伝えたい思い」だけ

とにかく圧倒されたのが第1部。

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こんな感じで、とにかく原画が延々と並ぶ。
一つひとつが「うわぁぁぁぁぁ~~~!!」と思い出される名場面。

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ちなみに写真は禁止です。
4階の婦人服売り場にレプリカを飾った特設展示があったので、写真はそこのものを持ってきています、念のため(以下同)。


何よりすごいのは、このベルばらの原稿、100点近いものがあるのに、とにかくホワイト修正がほとんど皆無に近いんです!
ホワイトはほんとに、目の星とドレスとか背景のキラキラくらい。
いや、もちろん修正がないわけないんだけど、でも確率、割合にしたら無いに等しい。

冒頭のオスカル誕生のシーンからもう、すでにない。
迷いも一切ない。
ぐいぐい描いてる。
ただ、始まった!描ける!伝えられる!よしっ、いくぞ!という、プラスの、思いっ切りポジティブなエネルギー&パッションに溢れてる。

さらに連載は1972年から。
当時スクリーントーンなんて高価過ぎて、今のようにデジタルで量産できるもんでもないから、ほぼ線画とベタ、わずかなカケアミがある程度の原稿です。
読んでいたときはすごく華麗な世界を想像していたけど、実際原画を見てみると「えっ?」と思うほどにシンプルなんですよ。

そんなわけですから、どの原稿も伝わってくるパワーがもう、半端ないんです。
当時、今では考えられない「週刊少女漫画」での連載だったから、細かいことを考えている余裕もなかったんだろうけれど、本当に昼夜を問わず、ひたすら描き続けていたのか。
すごいエナジーであり、パッションです。

「漫画は紙とペンさえあれば描ける」とは、手塚治虫御大はじめ、歴々の漫画家先生達がおっしゃっている言葉ですが、本当に、まさにそれ。
その当時できるかぎりのすべてを、心身ともども注ぎ込んだ結果生まれた、という象徴のようです。

小手先の技術じゃない、高価な道具でもない。
絵のデッサンとか上手さなんてのも二の次、二次的な、ぶっちゃけ三次、四次的なもので、結局漫画、作品は「伝えたい思い」「キャラクターの生き様」といった、内からにじみ出る魅力がすべてを凌駕するんだ。
そしてそれがホンモノであれば、こうして40年も生き続け、愛され続けるんだと、改めて思いました。

●第2部:「宝塚」のベルばらは華麗なりし名場面の嵐

ヅカです。
ヅカの「ベルばら」です。

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衣装はもちろんのこと、圧巻は歴代ポスターです。
安奈淳、鳳蘭、杜けあき、涼風真世、水夏希様に霧矢大夢とまあ、新旧ずらり!
見ているだけで「あ~い~ それは~♪」と頭に浮かんでくる(苦笑)

でもって、DVD上演がまたすごい!
内容的には15分間リピートのもので、おそらく映像保存の関係上、2000年以降のものばかりなんですが、それにしたって次々といろんなオスカルやアンドレが出てきてもう、立ち尽くして見入ってしまいましたわ(笑)
「私はフランスの女王ですから!」とか踊りながら撃たれて死んでゆくオスカル「フランス…万歳…!」とかね、もうね、漫画とは別に、また名場面・名セリフの数々に、頭がスパークするわけです。

実はこの日、午前中からまさにヅカの舞台を観た帰りで、手にはすみれ色のヅカバッグを下げていたという、いかにも的な風体丸出しだったのですが、もう知ったこっちゃないわー!
どっから見ても立派なヅカヲタ・ベルばらヲタだったよ(泣笑)

●第3部:アニメのベルばら

そしてアニメのベルばら。
本腰入れて観たのは再放送ででしたね。
いや、だって当時裏番組が「ドカベン」で、しかも放送局が日テレだったから、野球中継で潰れまくってたんだな。

でもこれは、スタッフが半端無く素晴らしかった。
監督が今は亡き、あの出崎統氏(でも途中から)。
作画が荒木・姫野という、あのキラキラの世界にはぴったりな方。

これはこれで、とんでもなくドラマチックにまとまってたアニメだったし、何より!アランが一番かっこいいのは、このアニメ版で、あのエンドはアランファンにはたまらないものでもありました。
ええ、実はアランが好きなのです(^_^;)
もっと言うと、アランとベルナールがセットで好きです。
だから「エロイカ」に、まさか出てくるとは思わなかったし、しかも…仲良く死んでったなぁ…・゚・(つД`)・゚・

ともかく。
展示されているのが、今はもう消滅してしまったセル画・背景付き。
アントワネットの髪の毛が、色がベタ線ではない、いわゆる柔らかい効果を出す色違いの線なわけで、それをひとつひとつ手作業で描いていたのかと思うと、ほんとうに気が遠くなる作業だ。
アニメが儲からないというのも、すごくよく分かる。

でも総じて、先の漫画もそうなんだけど、「アナログ」という世界はそのまま人の思いがダイレクトに伝わるから本当にパワーがある。
何度も言うけど、これもやはりパッションの塊なんです。
どんなに技術やデジタルが進化しても、「人」がダイレクトに伝わる「ナマモノ」にはかなわないかもだ。
本当に、「ベルばら」はもとより、アナログの凄さを改めて実感する展示会でもありました。

会場はやっぱりベルばらダイレクト世代の方々はじめ、結構若いイマドキのお嬢さん、子連れも多くて、これもまた時代なのか。
なんのかんの言って40年生き続けている作品の力のその源を、改めて感じました。

このあと、ベルばら展は福岡、大阪、長崎の巡回が決まっているそうです。
お近くの方で、お好きな方はぜひぜひ!
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by kababon_s | 2012-09-16 10:53 | Exposition

ロシア美術館展(2):最後の、そしてひょっとしたら永遠の皇帝

引き続きロシア美術館展で。

レーピンの絵でもう一つ、強く心に残っているものがあります。
「ニコライ2世の肖像」。
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最後の皇帝ニコライ2世、28歳の時の肖像画です。
この絵を描いた時のレーピンは齢50を過ぎていたとか。

そして、このレーピンの「ニコライ2世」。
飾り気ない、本当に素朴で、人の良さそうな青年といいますか、お兄ちゃんといいますか、あるいは家族大好きなお父さんとでもいうような雰囲気に満ち満ちています。
本人は皇帝になりたくない、なる自信がないと言っていたとか。
ニコライ2世自身の姿は、時代が時代ゆえに写真も数多く残されていますが。
どんな写真より、どんな肖像画よりも、このレーピン肖像画が一番、「人間・ニコライ」の姿に近いような気がしてなりません。

画家は「皇帝」ではなく「人間・ニコライ」と向き合ったのでしょうか。
この絵ができた後、皇帝はモスクワへ送るために複製画を作らせたといいますから、おそらくご本人も相当に気に入ったのでしょう。

そしてこの絵を発表して約20年後に、皇帝一家が史上から抹消されるが如く、むごい殺され方をするとは…。

またさらに60年後。
ペレストロイカ、社会主義崩壊を経て、まっさきに「国家事業」として行われたものの一つに、この皇帝一家の歴代皇帝墓所「ペトロパブロフスキー大聖堂」への埋葬がありました。

私が当の聖堂を訪れた時は、確かこの埋葬が終わってから、もうずいぶん経っていましたが。

皇帝の墓や息子・娘達のプレートの前にはたくさんの花が供えられ、お灯明が飾られていました。
思慕、同情……いずれにしても、愛情を持って迎えられていたのは確かでしょう。
お店には一家のポストカードや本、写真集などもたくさん並んでいました。
家族全員のものはもちろん、息子や4人の娘単独のものなどもあり、なんだか劇場のブロマイド売り場のような印象でした。
この一家、一種の大きな観光素材でもありますが、やはりそれと同時に、激動の歴史・時代の一つのシンボルなんだなぁとつくづく思わせられます。
ピョートル大帝やエカテリーナばあさんのようなパワフルさ・強大さはないにしても、この最後の皇帝は、同時にロシアの“永遠の皇帝”なのかなぁと感じてしまいます。

そして皇帝一家の遺骨が本物か、偽物か、息子が、娘が足りない、足りないのはマリアだ、いやアナスタシアだ…などなど、依然論議は絶えないようで。

時代の流れ・悲劇・ミステリー性…。
後世の人間が持つ思いは人それぞれですが、私的には、この一家を思うと、言葉や理屈では表せない、胸が詰まるような思いを感じてしまうのですが…。
いや、こればっかりは理屈じゃないんですね。
私にもわかりません。

でも、だからこそ、レーピンのこの絵はなんだか一層切なく、同時にどの写真よりも素晴らしいと思ってしまうのです。
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by kababon_s | 2008-02-17 22:51 | Exposition

ロシア美術館展(1):氷解または歯車が合致する瞬間

ロシア美術館展に行ってきました。
いや、昨年東京都美術館に来た時に、絶対!!見に行こうと思いつつ、すっかり見損ねてしまい、今回わざわざ八王子まで行ってしまったものです…遠いよ。

で、この「ロシア美術館」。
以前サンクト・ペテルブルクに行ったときに、一番印象に残ったのが、実はこの美術館でした。
特に圧倒されたのがレーピン。

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「ヴォルガの船曳き」

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「サポロージェのコサック」

大昔、家にあったクラッシック(確かロシア歌曲集)のLPの表紙にあった絵ですが、「えいこ~ら♪」という歌とともにとてもインパクトがあったというか、子供心に強く心と記憶に残っていました。
いやだって、この「コサック」、表情が豊か過ぎてコワイくらいでしょう。

なもんで以後、何か「ロシア」に触れるたびに、心のどこかでこの絵をな~んとなく思い出していたのですが。

それが何十年を経て当の美術館を訪れた際、いきなり目の前に現れたのですね。
ロシア美術館にあるなんて、ひょっとしたら…と思いながらも、やはり衝撃でした。

なんか氷解といいますか、融合といいますか、歯車が合致しコトン!と回る瞬間といいますか。

これまでのジンセーの中でろいろ見聞きし、感銘を受けたいろいろなパーツとでも言うようなもの。
自分の心の奥底でいろいろ浮いたり沈んだり、あるいはぐるぐると漂っているようなものの、その中のいくつかの符号が合致したような気分でした。

そしてさらに、新たな感銘を与えてくれたレーピンの作品が、この「なんという広がりだ!/What an Expanse!」。
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美術館を訪れた当時は「Sprash!」という英名がついていたような、おぼろげな記憶があるのですが、ともかく。
「ヴォルガ~」「コサック」で氷解したものが押し流され、新たな広がりへと繋がった…!?と感じた瞬間でした。

今回の美術展はその「広がり」との再会でした。
この絵、実は私のPCの壁紙で、毎日見てはいるんですが(^_^;)
それでもオリジナルの迫力は何度見てもいいものです。
新しい力をくれます。
でも何と繋がったのか……それは未だわかりません。
広がりの彼方の、次には何があるのか。

でも、きっとそのうち氷解するでしょう。
なにかそのコトン!という音がする瞬間を楽しむために、あれこれ見て、聞いて、探して、生きているような気もします。


*念のためですが。
今回掲載の写真はロシア美術館(現地サンクト・ペテルブルク)を訪れた際に撮影したものです。
当時は「カメラの入場料」もとい「撮影代」を別途払えば、内部および作品撮影が可能でした。
今はどうでしょう??

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by kababon_s | 2008-02-13 22:28 | Exposition