BBC The Musketeers(マスケティアーズ):4話「立派な銃士」【ネタバレあり】

4話です。
せっかく自分、本業旅行関係だし、単にドラマの感想を語るのも芸がないので、今回は横道にそれつつ、本業らしいテイストも含めて語ってみようかな。

ともかく1話に必要なネタを乗っけたら、2話以降は(今のところ)オリジナルキャラを交えながらの1話完結で進んでいます。
その間に1話でお皿に乗せた複線回収を少しずつ…というところでしょうか。
4回見て「The Musketeers」、日本語訳で「銃士たち」ですが、その意味がなんとなく分かってきたような??感じです。

というわけで以下ネタバレ。















●ニースやカンヌはまだフランスじゃない時代

サヴォイア公の来訪。
スペインに対する共同戦線といいますか、和平条約の締結です。

銃士の時代の17世紀、サヴォイア公爵領はイタリアからフランス領内ではアルプスやコートダジュールを含んでいました。
あの映画祭で有名なカンヌやニースはまだフランス領ではないのですよね。
実際にニースやカンヌが正式にフランス領となったのは、実に19世紀を過ぎてからです。

カンヌの中心地に近い小高い丘の上には華やかなイメージの町とは裏腹に、無骨い城塞があります。

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今は城塞博物館で、ここが本来のカンヌの拠点であり、昔は大砲も並んでいたそうです。
当時海上交通の要衝の一部を抑え、ジェノヴァ、ヴェネツィアやフィレンツェへの街道もあったサヴォイア公国は、スペイン、フランスとの間で揺れていました。
山城の大砲は海から来るスペインにも、状況次第ではそれがいつ内陸のフランスに向いても不思議ではなかったわけです。

前置きが長くなりましたが、サヴォイア公国の身の振りひとつでフランスは有利になったり不利になったりするわけですから、とにかくサヴォイア公は態度がでかい。
奥さんがフランス王の妹でも、です。

こうした国情の下で暗躍するのがリシュリュー猊下で(とうとう名前を呼ばれました)、サヴォイアの大臣を捕らえて牢に監禁しているわけですが、公爵はそれを疑うからこそ、なおさら態度がでかく、実に高飛車です。

そこへ謎の男によるサヴォイア公暗殺未遂事件が起こります。
しかも下手人は元銃士でアラミスの親友(!)であるマルザック。
今回のゲストキャラです。

●「サヴォイアの大虐殺」

5年前、アラミスとマルザックはサヴォイアとの国境付近で「訓練」として送られた銃士隊にいたそうです。
字幕では「訓練」でしたが英語ではexerciseと言っていましたから、おそらく大した装備もない、いわば丸腰に近い部隊だったのでしょうか。

その銃士隊が夜間に奇襲され、アラミスとマルザック以外の20人はなすすべもなく殺されてしまったという事件があったのだとか。

アラミスの立場なら「サヴォイアの大虐殺」とでもいいますか(英語でも「大虐殺」という言葉を使っていました)。
マルザックは怪我を負ったアラミスを助け、仲間の元へと駆けつけますが、すでに屍の山。
地獄の光景でした。
マルザックはそのまま銃士隊を去り、「なぜ仲間たちは殺されたのか」という真実と下手人を探し復讐することを誓って地上をさまよいます。

謎を追ううちに下手人はサヴォイア公だ、実はトレヴィル隊長の命令だと話がシリアスに展開しますが、結局真実は「スパイ」として送り込んだ国王の妹君を守るため、国王が下した命令だったというからやるせない。
もちろんリシュリュー猊下も組んでいます。

つまりサヴォイア公は妻である王の妹をフランスのスパイと疑いはじめていた。
そこで妹君から疑いの目を逸らすために、22人の銃士たちをほぼ丸腰で送り込み、サヴォイア側にはフランスが攻めてきたというデマを流し、20人の銃士を惨殺させたという。
サヴォイア公の夫人が王の妹でもフランスは攻めてくる、王の妹はスパイじゃないぞ、ということでしょうが、つまり銃士たちは「王家の妹を守るため」捨て石にされたわけです。

この真実にたどり着いたアラミスですが、今度はトレヴィル隊長を殺そうとするマルザックとの間で意見が分かれます。
「軍法会議にかけるべきだ」というアラミスに対し、即刻殺してやるぞというマルザック。
それぞれの「正義」のぶつかり合いです。

しかしトレヴィル自身もリシュリューにはめられていたという更なる事実や、20人の死を背負ってなお「使命」を貫こうという決意という、トレヴィルとしての正義とのぶつかり合いがここでも。
結局トレヴィルを守り、アラミスは思わず銃に手をかけ、自らの手でマルザックを仲間の元へ送ります。

「銃士」の使命は国王、しいては国を守ること。
死んでいった20人の仲間も、国のために死んだ…のでしょうが、あまりにやるせない、「銃士たち」の覚悟です。
華やかに見える王の直属部隊の裏側です。
ここをこう書いてきたか…!

このドラマ、「三銃士」を通して「銃士たち」を描こうとしているのか。
「銃士たち」のアイデンティティは、生き様は、正義のあるべきところはどこなのでしょう。
国を守るって、なんですか?
20人の犠牲は、でも本当にこれは名誉でしょうか。
アラミスのように、「今は眠れ」としか、言いようがありません。

「国のために命を捨てる所存です」とトレヴィルに語りながら、アンヌの十字架を手にするアラミスが意味深に思えるのは私だけ?
一抹のアラミス的胡散臭さを感じるのは原作に取りつかれているから?

●外側的ダルタニャンの立ち位置と3+1≠4

ところでダルタニャンはまだ正式に銃士になったとは語られていません。
でも三銃士と一緒に列席しているのは、これまでの武功と三銃士の友人ゆえでしょうか。

そのダルタニャン、三銃士と一緒に行動していますが、でもどこか視点が外側です。
視聴者視点っていうんでしょうかね。
国のためというよりは、知り合った3人の友人のための行動のようです。
入り込もうとしているけどなんか完全ではありません。
今作品はダルのお父さんが市民運動の闘志でしたから、そういう視点もどこかにあるのかもですね。
実に絶妙な3+1です。
アトスとダルという個人単位の親友はあっても、3と1の間には薄皮一枚あるようですね。

そう、「三銃士」という話は3+1≠4なのです。
これがこの話の面白さのひとつなのですが、(今のところ)よくわかっている、BBC。

果たしてダルは今後「銃士たち」の1人となるのか、父の志を継ぐのか(そうなるとVS銃士か?)、なかなか先が楽しみな展開です。

●アラミスとトレヴィルと実在のモデルさん


そしてアラミスの覚悟。
原作はもう少し謎と胡散臭さがあるキャラですが、「大虐殺」を経ているという解釈は個人的には大いに膝を叩いて握手を求めたいくらいです。
理由はもちろんありますが、この辺は語り始めるとめちゃめちゃ長くなるので割愛します。

ともかく、アラミスというキャラは「三銃士」のみで必要部分を抽出すれば、one of threeという立ち位置にもなるのですが(アラミスの本領は「三銃士」の本編である「ダルタニャン物語」の第3部にゾクゾクするほど発揮されていますし、長い物語のクライマックスでアラミスが主要キャラになるには、それ相応の背景があると思うのですが)、ともかくそれは逆に言えば描かれていない分、こういう創作にはうってつけキャラになるともいえるわけです。
取り扱い自由です。
そして実に自由に素敵にハイスペックなアラミスですに仕上げていただいてて嬉しい限りです(*´꒳`*)
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また個人的にはトレヴィル隊長とアラミスのラストシーンが涙でるほどうれしかったですね。

三銃士にはそれぞれモデルになった銃士が実在し、みな多かれ少なかれ、トレヴィル隊長含めて親戚関係にあります(写真はアラミッツ村にあるアラミスのモデルさんの住居跡で、門は「銃士の門」と呼ばれています)。
ベアルンの田舎のコネクションです(笑)

特に実在アラミスと実在トレヴィル隊長は、アラミス的には従姉妹のダンナなので、親戚関係としてはかなり近いのですが、なんだかそういう「近さ」が感じられたのも非常にツボでした。
(トレヴィル隊長の出身地、ポーという町の観光局横の広場には隊長の像が建っています)

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ともかく。
「三銃士」を含めた「銃士たち」の物語、次はどういうオリジナルゲストキャラが登場するんでしょう。
そしてどういう「銃士たち」が描かれるんでしょうね。
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by kababon_s | 2014-11-16 03:37 | Cinema/TV