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「黄金の日日」:「交易事始」。言葉は子供が一番です

ずいぶん前にフランスに留学したとき。
留学する前は結構自分でも言葉を勉強したつもりでいたが、学校で言葉を学ぶのと実際行って生活するのは大違い。
さっぱり分けがわからず、聞き取れもせず、一体自分は今まで日本で何をしていたんだ、とかなり落ち込んだ。
が。
ホームステイ先にいた9歳の女の子に救われた。

子供のボキャブラリーと言うのはいたってシンプル。
一緒にお使いに行ってスーパーで「りんご」「ばなな」「じどうしゃ」「ぎゅうにく」「ぶたにく」……などと片言で会話をしていくうちに、ある日ふと気づいたら、なんか大人との会話も成立するようになっていたのである。
その子と少しずつ簡単な言葉を交わすうちに、だんだん耳が慣れ、生活用語がわかってきたのがよかったのかもしれない。

というわけで。
助佐やゼンジがマリキットやノーラに言葉を習うというのはとてもよくわかるし、一番いい方法だし、自然だ。
さぞやこれで上達するだろう、とわが身を振り返りつつ見ていた今回。

それと。
先の言い分と正反対にはなるのだが。
外国人と言葉を交わすのに外国語を学ぶ。それが国際人への第一歩、などという文句が踊っているが。
言葉はツールでしかない。
意外と言葉なんてなくたって通じるんである。
留学中、その女の子が盲腸で入院した。
「早くよくなって」と手紙に書きたかったがどう書いていいかわからず、結局日本語とイラストで手紙を渡したら、退院後、彼女は一番に抱きついてきてくれた。
いや、涙モノでした(^^)
要は何を語りたいか、何を訴えたいか、その訴えるべきモノを持っているかどうかが一番重要なんである。

で。
漂流先の孤島で生き抜くために言葉を覚えようとしている助佐とゼンジ。
最初に覚えた言葉は「いらっしゃいませ」。
タガログ語はぜんぜんわからないけれど、多分「こんにちわ」とか「ようこそ」に近い言葉なのではあるまいか。
迎えてほしければ、まずこちらから迎えよ。
シャイな日本人だが、まずは「目を見て笑え」である。
言葉はそれから徐々に覚えていけばいいのだ。
いやまさに異国と交わるときのキホンを、改めて思い出させられました。

by kababon_s | 2004-12-18 00:22 | Cinema/TV